フランス・フットボール通信BACK NUMBER
疑問符だらけの男、スターリング。
なぜペップに重用され続けるのか?
posted2019/04/16 10:30
text by
フィリップ・オクレールPhilippe Auclair
photograph by
Alain Mounic/L'Equipe
『フランス・フットボール』誌3月26日発売号では、マンチェスター・シティで押しも押されもせぬ中心選手となったラヒーム・スターリングを取りあげている。
だが、英国内で彼について語られるとき、そこには常に何がしかの留保と揶揄が含まれるのはどうしてか。いったい彼のどこに問題があるのか……。
フィリップ・オクレール記者がレポートする。
監修:田村修一
なぜグアルディオラは彼を重用する?
2017~18年シーズン以前はそれまでほとんど語られたことのない人物について語るとしたら、しかもそのゴール以上に人間像について語られるとしたら――モハメド・サラー以外にそんな人物がいるだろうか。
ラヒーム・スターリングはそんな人物であるといえるのか?
スターリングこそは、まさに説明不可能な人間である。彼は2017年8月21日以降プレミアリーグで33ゴールをあげ(うちPKは1点のみ)、20のアシストを記録している(『フランス・フットボール』誌掲載の3月26日時点)。先日、ウェンブレーでおこなわれたチェコとのEURO2020予選(3月22日、5対0でイングランドの勝利)ではハットトリックを達成した(続く3月25日のモンテネグロ戦でも1得点)。
だが、それでも彼に対する印象は変わらない。
彼は、リバプール時代から変わることのない“猟犬”であり、“偏執的なドリブラー”なのである。
彼のような粗削りな選手がシティで成功を収めたのは、ひとえにグアルディオラという気難しく要求の高い監督の信頼を得たから、というのが一般的なイメージである。
だが、そもそもグアルディオラほどの監督が、どうしてこの2年間というもの彼以外の選手にもっとプレー時間を与えないのか――。
ゴール前の不器用さは誰の目にも明らかであるにもかかわらず、である。