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疑問符だらけの男、スターリング。
なぜペップに重用され続けるのか?
text by
フィリップ・オクレールPhilippe Auclair
photograph byAlain Mounic/L'Equipe
posted2019/04/16 10:30
いまやマンチェスター・シティの大黒柱と言って良い存在にまでなったラヒーム・スターリング(中)。
驚異的な戦術理解力を誇る男。
スターリングはその素早い動きと対人能力だけでグアルディオラを魅了したのではない。進歩への渇望と他の誰も持ち合わせないポリバレントな適応力――シティのどの選手も、スターリングほど様々なポジションでグアルディオラに起用されてはいない――で、グアルディオラを虜にしたのだった。
2017~18年シーズンに彼はスターリングを右ウィングで25回起用し、左ウィングで10回起用した。
センターフォワードでは8回。
偽のセンターフォワードでは9回である。
それが2018~19年になると、左サイドが22回、右が15回、トップ下と中盤が1回ずつとなる。
グアルディオラが戦術を準備する際の異常な細心さを考慮すれば……彼はスターリングの戦術理解力に最大限の信頼を置いていると言えないだろうか。
「プレーしろ。それだけだ」
状況が変わったのは2016年からであった。
彼はスターリングにたったひとつの指示しか出さなかった。
「プレーしろ。それだけだ」
しかし、これまでもそうであったように彼がそういう具合に語りかけるのは、「想像を絶する能力を持った人間」に対してだけであった。
実際、スターリングの理解力には、ケビン・デブライネやジョン・ストーンズ、ベルナルド・シウバですら及ばなかった。
24歳にしてスターリングは、シティという魅力溢れるサッカーマシンに欠くことのできない大黒柱になっていのだ。