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疑問符だらけの男、スターリング。
なぜペップに重用され続けるのか?
text by
フィリップ・オクレールPhilippe Auclair
photograph byAlain Mounic/L'Equipe
posted2019/04/16 10:30
いまやマンチェスター・シティの大黒柱と言って良い存在にまでなったラヒーム・スターリング(中)。
エレガンスという言葉から最も遠い。
より詳細に分析をすると、ひとつの事実が浮かび上がる。
それはエデン・アザールを除いて、誰も彼以上の枠内シュート率を記録していないのである。
スターリングが4本中3本を枠内に打っているのに対し、シュートの正確性についてほとんど批判を受けたことがないセルジオ・アグエロですら2本中1本にすぎない。
おそらくはイメージの問題なのだろう。常人離れした彼の体型が、そんな印象を人々に与えるのかも知れない。
こんもりと盛り上がった臀部、マイケル・ジョンソンのようにピンと背筋を立てながら、爆発的に加速する目まぐるしいピッチ走法などが、彼のイメージを増幅しているのは間違いない。
エレガンスという言葉とは、彼は最も無縁な存在である。
ジャマイカ生まれの自己主張の強い男。
トッテナムのデル・アリやマンチェスター・ユナイテッドのマーカス・ラッシュフォード、マンチェスター・シティのフィル・フォーデンのように、イングランドではトップクラブで少しでも活躍するやメディアに大々的に取り上げられる。そしてひとたび注目を浴びるや、その選手に対する興味を決して失わない。
2014年には伊『トゥットスポルト』紙が主宰する、ヨーロッパで最も活躍した21歳以下の若手に贈られる「ゴールデンボーイ賞」に彼が選ばれた。前年のポール・ポグバに次ぐ受賞。イングランドでは2004年のウェイン・ルーニー以来2人目の快挙であった。
ジャマイカの首都キングストンに生まれたスターリングは、人生のほとんどをイングランドで過ごしている。
自己主張が強く、世間に向けて常に石を投じ続ける彼の言動を、タブロイド紙は事実であろうとなかろうと細大漏らさず報じている。