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プロレスで他人の技を使うのはOK?
豊田真奈美のツイートで論争が勃発。
posted2019/04/02 11:00
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by
AFLO
先日、元・女子プロレスラー豊田真奈美のツイッターのつぶやきによって、ネット上でちょっとした論争が起こった。
3月21日、スターダム大阪大会セミファイナルの6人タッグマッチ(渡辺桃、林下詩美、ビー・プレストリーvs.岩谷麻優、星輝ありさ、鹿島沙希)で、イギリス人レスラーのプレストリーが、ジャパニーズオーシャン・サイクロン・スープレックスホールドで鹿島にピンフォール勝ち。
この試合結果をプロレスのニュースサイト等で知ったと思われる豊田が、以下のようなツイートをしたのだ。
「誰? ビー・プレストリーって? 決め技がジャパニーズオーシャンサイクロンスープレックスね… 女子には藤本つかさ 男子には日高郁人 勝手に使わないで貰いたい」(原文のまま)
無断で使用されて不快感をあらわに。
ジャパニーズオーシャン・サイクロン・スープレックスといえば、豊田の代名詞的なオリジナルのフィニッシュ技。一昨年、現役を引退する際、藤本つかさと日高郁人のふたりに技の継承を認めているが、今回は自分の知らない選手が無断で使っていることを知り、不快感をあらわにしたかたちだ。
この豊田のつぶやきはネットニュースで報じられたこともあり拡散され、現役および元プロレスラーが私見をツイートするなどしたことで、他人のオリジナル技を無断で使うことへの是非論がSNS上で展開され、ちょっとした論争に発展したのだ。
元来、「他人の得意技を使ってはならない」という暗黙の掟は、日本のプロレス黎明期、力道山時代からあったもの。
プロレス興行は第1試合から徐々に盛り上がっていき、メインイベントでピークを迎えるようにするため、後半の試合に出る選手たちが使う大技を前座で使うことは禁じられ、とくに有名選手の代名詞的なフィニッシュホールドを他人が使うことは、一種のタブーだった。