本継!SPORTS BOOKリレーBACK NUMBER

『炎上チャンピオン』
“暗黒期”を彷彿とさせる、プロレスのディストピア小説。 

text by

行成薫

行成薫Kaoru Yukinari

PROFILE

photograph bySports Graphic Number

posted2019/03/27 14:30

『炎上チャンピオン』“暗黒期”を彷彿とさせる、プロレスのディストピア小説。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『炎上チャンピオン』横関大著 講談社 1500円+税

 プロレスはスポーツか、という論争を耳にすることがある。プロレスはショーであり、純然たるスポーツではない、というものだ。果たしてそうだろうか?

 スポーツというものには、少なからずショー的要素があるものだ。ゴールしたサッカー選手が派手なセレブレーションを見せたり、フィギュアスケーターがエキシビションに出演したり。観客を集める興行としての一面がある以上、プロスポーツは競技でありながらも、客を楽しませなければならない。プロレスは、その「エンタテインメント性」を特に重視するスポーツである。

 本書『炎上チャンピオン』作中の日本では、そんなプロレスが社会から排斥されてしまっている。きっかけは、レスラーの犯したある刑事事件だ。レスラーには悪人というレッテルが貼られ、興行は自粛に追い込まれる。プロレスファンにとっては、「ディストピア小説」と言っても過言ではないかもしれない。

こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
NumberWeb有料会員になると続きをお読みいただけます。

残り: 525文字

NumberWeb有料会員(月額330円[税込])は、この記事だけでなく
NumberWeb内のすべての有料記事をお読みいただけます。

#横関大
#行成薫

プロレスの前後の記事

ページトップ