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“リアリスト”フリオ・ラマスHCが
語ったバスケ日本代表の目指す未来。
posted2019/03/08 07:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Takuya Sugiyama
こんなにもタフになっていたのか!
男子のバスケットボール日本代表がアジア地区予選で4連敗からの8連勝で、W杯の切符をつかんだ。
2017年7月から日本代表のヘッドコーチを引き受けた、アルゼンチン出身のフリオ・ラマスはこう話す。
「8連勝なんて映画の世界ですよね。シナリオではなかなか書けませんよ。現実的ではないとね。でも、これは現実に起きたことなのです」
4連敗した時には、関係者から不協和音も聞こえた。
ターニングポイントとなったのは、'18年6月29日、B組で首位を走っていたオーストラリアを79-78で破った試合だった。ラマスHCはこう振り返る。
W杯出場への契機となった豪州戦。
「4敗したあとは、たしかに難しい状況に立たされました。そして次の相手がオーストラリア。このチームはアジアでは図抜けた存在です。
もちろん5連敗する危険性はありましたが、このタイミングで八村塁、ニック・ファジーカス、9月には渡邊雄太が代表に加入しました。
日本にとってサイズ不足は永遠の課題で、『リングの上でプレーできる』選手を必要としていましたが、3人が入ったことで、3、4、5番ポジションのサイズ、タレントが一気にアップグレードしたのは間違いありませんでした。さらにオーストラリアに勝ったことで、『どんな相手にだって勝てる』と選手たちが自信を持ち始めたのです」
この勝利は決してフロックではなかった。9月にはチームはさらに自信を深める。
「9月の2試合は大きかった。まず、アウェーでカザフスタンに勝ち、日本に戻ってきて強豪のイラン相手にディフェンスが機能し、70-56で勝ったのです。会心のゲームでした。
これで4連敗からの4連勝。この時期から、選手たちが誇らしいチームの一員であること、そしてシステムが機能し始めたことを理解し始めたのだと思います」
ラマスHCは、代表の選手たちの知性を高く評価している。