ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
カタールとの決勝直前、オシムの言葉。
「メディアが障害になる可能性が」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/01/31 11:45
イラン戦で5試合ぶりにスタメンとなり2得点を挙げた大迫勇也。オシムもそのプレーを絶賛した。
「冨安はいい。だがあと1~2人の屈強な選手を」
「とはいえ守備陣は、長友や酒井、吉田ら経験豊富な選手を揃えている。ときにナイーブなミスもあるが、まずまず安定している。16番(冨安健洋)は、正確にはいくつなのか?」
――まだ20歳です。
「彼はいい。ただ、さらに屈強な選手をあと1~2人探した方がいいだろう。フィジカルが強く大きな選手がもっと必要だ。
アジアでは現状でもいいが、ヨーロッパとの戦いでは厳しいからだ。体格の問題は解決していない。
攻撃は3~4人のコンビネーションがよかった。流動的で機動性に富み、大会中に大きく進歩した。これからもさらに良くなっていく。若い選手たちはドリブルもパスもシュートも素晴らしく、勇気を持ってファイトし戦いにも勝っていた。すべての面でクオリティを発揮し、それこそが真の才能であるといえる。
今日感じたのは純粋な驚き――ポジティブな驚きだった。
チームスタッフも若い。その若い力をさらに集結して、このまま同じ方向に進み続けるといい」
――日本サッカーというものを、さらに進化させる部分があるとすれば、どこだとお考えですか?
「日本は……全体的に欠点の少ないサッカーをするので、相手が勝つ方法を考えるのは大変だろう。戦術的にも優れている。若い選手たちがコレクティブにプレーし、野心にも溢れている。常に勝利を目ざしている。そのメンタルの部分が、代表チームの強さを保証していると言える。実際にイラン戦はそういうバランスの良いチームらしい完璧な勝利で、3対0という結果に誰もが満足しているだろう。
ただ……日本サッカー全体では、“マスター(導き手)”を見いだす必要があるのではないか、と思う。
若い選手が多くを学べる模範的な選手で、今日のJリーグが(イニエスタをはじめとする)スペイン人たちから多くを学んでいるように、だ」