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森保Jの「プレーを止めるな!」。
冨安や南野が体現した監督の理想。
posted2019/01/31 12:15
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Takuya Sugiyama
プレーを止めるな!
それこそ森保一監督が、強く求めてきたものである。
戦術面のアイデアやプレーモデルについて批判を受けながらも、監督は選手の柔軟なプレーを求めてきた。そして選手たちは当事者として、臨機応変に対応してきた。
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臨機応変だけでなく、事前の準備ももちろんしている。森保ジャパンのスカウティングは、分析スタッフが10人以上もいるイングランドのサウサンプトンでプレーする吉田麻也が「緻密だと思う」ほど綿密なものだ。
そして森保には、譲れないチームルールがある。
「自分たちが納得できない判定は起こりえることですし、日常生活の中でも上手くいかずに苛立つことはあると思います。『現実を受け止め、そのなかで最善・最大限のことをやっていこう』、『心が乱されることあっても現実を受け止めて、みんなで最善を尽くしていこう』と選手たちに伝えています」
イランの選手は審判に、南野はボールに。
だからこそ、イラン戦の後半11分のプレーが生まれた。
大迫勇也のパスに反応したのは、南野拓実とイランのホセイン・カナー二だった。2人がボールをめぐって交錯したところで、南野が倒れた。カナー二を含めたイランの5人の選手が主審に向かっていき、ファールではないことを猛烈にアピールする。
カナーニのファールなのか、南野のダイブなのか、試合を止めるに値するのか。判断を下すのは主審である。
では、選手がすべきことは何か?
プレーを止めることなく、続けることである。
南野は一度ピッチに倒れたが、瞬時に起き上がってボールを追いかけた。
監督の要求を体現する南野だからこそ、ゴールライン手前でボールに追いつき、クロスを上げることができた。それを大迫が頭で押し込んで、今大会無失点を誇っていたイランを窮地に追いやり、3-0の勝利をつかんだのだ。
さらにさかのぼれば、南野が交錯した場面も日本の連続したプレーから生まれている。吉田がインターセプトしかけたボールを再び相手が拾った瞬間、日本の選手は誰ひとり足を止めることなく守備を続けた。
原口元気が相手を追いまわし、長友佑都が強烈にアタックする。遠藤航がパスコースを消して、最後に柴崎岳が奪い取ったのだ。そこからゴールへの攻撃が始まった。