ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
カタールとの決勝直前、オシムの言葉。
「メディアが障害になる可能性が」
posted2019/01/31 11:45
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Takuya Sugiyama
日本対イランのアジアカップ準決勝試合直後に、イビチャ・オシムのグラーツの自宅に電話をした。するとアシマ夫人に、少し休みたいから3時間後にかけ直して欲しいと言われた。
「決勝は日本対カタールになるという、大会前の私の予想が当たりそうですね(カタール対UAEの準決勝は翌日におこなわれた)」と、夫人の声も弾んでいる。
「ええ、覚えています。私はカタールがここまで勝ちあがるとは思っていませんでした。後ほどまた電話します」と応えていったん通話を切った。
スタジアムからホテルに戻りかけ直すと、「今、起きたばかりなのであと1時間後に」と言われ、さらに1時間後にようやくオシムが電話口に現われたのだった。
日本はアジアにおけるドイツやブラジルに。
――いい試合でしたね。
「ああ、素晴らしかった。ちょっと驚いた。日本の3点目が入るのを待っているところだ」
――そうですか。今、試合を見ているのですね。
「生でも見たが今は再放送を見ている。結果は知っているから、安心して見ていられる(笑)。
ついに日本は打倒すべきチームになった。アジアにおけるドイツやブラジルのような存在だ。これだけの内容を見せつけられたら……どこも日本を倒すことを目指すだろう。本当に強くなったし安定したチームになった。
私が以前から言っているように、あるべき姿になったことを日本は今日の試合で示した。どこも日本には大きな敬意をはらうようになる。この方向にこれからも進んでいくといい。
今日、選手たちが見せたのは、どのチームが相手でも恐れを抱かずコレクティブに戦う姿勢だ。選手も随分と若返った。あのセンターフォワードは素晴らしいな」
――大迫勇也ですね。以前はケルンでプレーし、今はブレーメンに所属しています。ワールドカップでも活躍しました。
「大迫は素晴らしい選手だ。もうベテランの部類だが、ドイツでそれなりの実績を残しただけのことはある。ケルンもブレーメンもブンデスリーガの名門といえるチームだ」