ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
カタールとの決勝直前、オシムの言葉。
「メディアが障害になる可能性が」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/01/31 11:45
イラン戦で5試合ぶりにスタメンとなり2得点を挙げた大迫勇也。オシムもそのプレーを絶賛した。
「メディアが障害になる可能性がある」
「大迫は戦いを恐れないし強さも持っている。運動量も豊富であらゆる場面に顔を出す。
ボールを良くキープし他の選手とのコンビネーションも悪くない。常に動いてポジションを変えるから相手が捉えにくく、いろいろな局面でアクセントをつけられる。そのうえコレクティブで、相手へのコンプレックスもまったくない。
日本に、恐れを知らず、良く動き、的確なポジション取りができる選手がいる――それだけで素晴らしいことだ。
さらに彼はやるべきことをキッチリとこなしている。単に運動量があるだけでなく、優れた才能があることをそれは示している」
――彼が怪我から復帰したことで、日本のプレーが攻守にわたり活性化したのは間違いないです。
「本当にいいチームだ。コレクティブで、全員がチームのために自分の役割をキッチリとこなしている。それが結果に結びついている。試合を見るに値する立派なチームでもある」
――森保監督は必ず有効なイラン対策を立ててくると思いましたが、ここまで見事に決まるとは思いませんでした。
「ただ……メディアが障害になる可能性があるのを忘れないことだ」
――どういうことですか?
「素晴らしい勝利だが、手放しで褒めるのはまだ危険だということだ。
チームはまだ建設途上で完成されたわけではない。対戦相手に合わせた戦い方をしているのだろうが、ベトナム戦のように相手に敬意を払い過ぎて消極的になることもある。
パフォーマンスが常に安定しているわけではないのに、いいときだけを取り上げてメディアが持ちあげるのは危険であるからだ」
――その通りだと思います。