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森保ジャパンはまだ本気出してない!?
トルシエが語る、静か過ぎるアジア杯。
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byJFA/AFLO
posted2019/01/16 17:00
オマーン戦終了直後、お互いに労う日本代表の選手たち。次戦ウズベキスタンとの戦いではメンバーは大幅交代も予測されている。
「これは練習試合だった」
――守備はどうでしたか。何も問題なかったのではありませんか?
「その通りだったが、それは脅威を感じるような力関係ではなかったからだ。幾つかのカウンターはあったが、日本がそれで危機に陥ることはなかった。日本の守備を崩すだけの強さをオマーンは持たず、経験豊かな守備陣が安全第一に着実に守ったといえる。
その意味でもこれは練習試合だった。
守備はほとんど圧力を受けず、シュートもほとんどなくGKがボールを触る機会も少なかった。とても静かな試合だった。
恐らく監督は次の試合でメンバーを入れ替えるだろう。しかしウズベキスタン戦は、ウズベキスタンが今日突破を決めれば……」
――今、試合中ですが、すでに2対0とリードしています(最終スコアは4対0)。
「つまりどちらも突破を決めた後の試合だから、日本はメンバーを入れ替えるだろう。とりわけ守備陣は大きく変えるはずだ。
ただ、遠藤や北川の起用を見る限り、森保はここまでも試行錯誤を続けている。その意味でも日本にとって練習試合だった。まだチーム作りの過程にあるから、現段階で彼を批判することはできない」
「本当の戦いはこれから始まる」
――あなたのとき(2000年)は最大6試合でしたが、今回から出場国が24カ国に増え決勝まで行くと7試合になります。フィジカル面でよりキツくなったと言えますか?
「そうとも言えない。もちろんその点は考慮しなければならないが、今日の選手は以前より周到に育てられている。ヨーロッパでの経験もあり、週2試合のペースで試合を重ねている。今のプロ選手はこうした大会にもキッチリと対応できる。
また選手層も厚くなりターンオーバーも容易だ。1試合増えたことが日本にとってハンディキャップにはならない。20年前よりも選手の状態は良く、準備も整っているからだ。そして日本の大会はまだ始まっていない」
――どういうことですか?
「繰り返すがここまで日本はコレクティブに戦い、試合を容易にコントロールして勝利を収めてきた。力を発揮するのはこれからで、本当の戦いもこれから始まるからだ」