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森保ジャパンはまだ本気出してない!?
トルシエが語る、静か過ぎるアジア杯。
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byJFA/AFLO
posted2019/01/16 17:00
オマーン戦終了直後、お互いに労う日本代表の選手たち。次戦ウズベキスタンとの戦いではメンバーは大幅交代も予測されている。
日本は50%、イランは80%の出来。
――現状ではイランの方が日本より成熟し、より完璧であるわけですね。
「そうだ。ベトナム戦(12日)はイランにとっても突破を賭けた試合だった。ベトナムには厳しい試合となったが、逆に言えばイランは日本よりも進歩の余地が少ない。日本が持てる力の50%しか出していないのに対し、イランはすでに80%を発揮しているからだ。イランの方が現状では大会に集中しているし、戦い抜く気持ちも彼らの方が強く持っている。
日本はまだチーム作りの試行錯誤の段階だ。練習試合を繰り返しながら、いろいろ学んでいるのが今の日本だ。本当の意味で大会にのめり込んでもいない。それが幸いであるのは、日本がイランよりも効率の面で少し劣っているからだ。
個のキャラクターについてもそうで、日本の選手はパーソナリティーを欠いている。ラボの段階の学生チームのようだ。世代交代の過程にある、経験の浅い若いチームだ。監督も模索を重ねている。
イランは違う。イランはすでに出来あがっている。日本よりも進んでいるが、日本もほどなく追いつくだろう。少し時間はかかるかも知れないが、今すぐ100%になる必要性もない。
そういう意味で両者を真に比較することはできない。どちらもグループリーグ突破を果たしたという事実があるのみだ。
イランはベテラン揃いのチームだが、日本は攻撃陣が若い。それがどうでるか――。
北川には国際経験がほとんどない。堂安も南野もトップレベルでの経験には乏しい。原口は何故か大人しく、まるで50%の力しか発揮していないように見えるが……。柴崎も酒井も長友も、今日の試合では力を出さなかった。
全員、とても静かにプレーした。それが本当のところだろう」
――わかりました。メルシー、フィリップ。