野球のぼせもんBACK NUMBER
若き日の川崎宗則がした本物の練習。
ソフトバンクの若手に足りないもの。
posted2019/01/04 11:30
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Kyodo News
第9回は、2018年シーズンに2年連続9度目の日本一に輝いた福岡ソフトバンクホークスです!
重たい言葉が、ついにチーム内から発せられた。
「若い選手に負けるわけがないと思っています。僕の方が若い選手よりも野球を考えている時間は絶対に長い。何のためにプロに入って来たのか、ホークスに入って来たのか。一緒にやっていても練習の意図も伝わってこない選手が多かった」
声の主は、年の瀬の12月22日34歳となった長谷川勇也だ。自身の契約更改後に行った会見の中で、報道陣の前でそのように語ったのだ。
‘18年の長谷川勇也は55試合出場にとどまるも打率.287、5本塁打と勝負強さを発揮した。特にチームが浮上のきっかけを掴んだ8月には1試合2本塁打を2度マークして、月間打率も.372を記録したのだった。2度目の手術を行った右足首の状態も上向いてきているようで、「自分のやりたい打撃が出来るようになってきた」と自信をのぞかせる。ただ、リハビリ期間があったことでシーズン序盤はファーム施設で過ごす時間が長かった。その中で若鷹たちと同じ時間、空間を共にしてそのように感じたというのだ。
そんな長谷川勇也の“喝”に、筆者も同調したい。
恵まれた環境に甘えてないか?
ホークスはすごく恵まれている。育成拠点である筑後の施設は球界ナンバーワンだといっていい。
練習環境が申し分ないだけでなく、たとえば球団からはタブレット端末やスマートフォンなどが支給され、その中には一般非公開の専用アプリがインストールされており、自身のフォーム研究や相手の分析などがいつでもどこでも可能となっている。
また、若手選手向けの体づくりのために外部からウエイト専門のトレーナーが定期的にやってくるし、毎日のコンディションチェックのために筋肉量や体脂肪率まですぐに計測が出来る機器も選手寮には備えられている。
何から何まで揃っている。だからなのか、反面思うこともある。
与えられることが当たり前になっているがゆえに、能動的な思考や所作が低下しているのではなかろうか。