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高津臣吾二軍監督に聞いてみた、
ヤクルトV字回復の背景と今季展望。
posted2019/01/05 11:30
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Kyodo News
第10回は、トリプルスリー男・山田哲人、10年ぶりに復帰した五十嵐亮太らを擁する東京ヤクルトスワローズです!
2018年は、高津臣吾二軍監督の本の企画、構成をすることになり、ヤクルトの試合をよく見た。
正直、開幕前の期待値はそれほど高くなかった。新しい首脳陣、そして青木宣親がメジャーリーグから帰ってきたとはいえ、なにせ2017年にはシーズン96敗したチームである。野球界の常識に照らし合わせて考えるなら、クライマックスシリーズ(CS)進出はずいぶんと遠い目標に思えた。
そしてシーズンが始まってみると、やっぱりね……とため息が出る試合が続く。
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4月終了時点で、8勝15敗。今年も厳しいと思っていたら、驚いたことに5月下旬から始まった交流戦から雰囲気がガラッと変わった。そしてなんとなんと、12勝6敗で交流戦で優勝してしまったのである。
交流戦後のV字回復の理由とは?
なにがヤクルトに起きたのか?
初夏からの快進撃を、高津二軍監督がこう分析していた。
「やっぱり、野球は先発。ブキャナン、夏場から小川(泰弘)、原(樹理)が状態を上げてきてゲームを作れるようになった。やっぱり野球は先発なんですよ。先発がしっかりしているからこそ、梅野(雄吾)、近藤(一樹)、石山(泰稚)といったブルペンが生きる。
ブルペンの勝ち星が増えたのは、先発が踏ん張り、ブルペンがつないで打線が盛り返すという形が出来たからでしょう」
そしてもうひとつ、夏場になってから変化があったのは、「宣親」だった。
春、青木は苦戦した。5月末時点での打率は2割6分5厘。「やっぱり年齢なのかなあ」という心配の声も聞かれたが、青木自身は、友人たちに苦戦の理由をこう話している。
「打席に立って、メジャーの感覚で始動するとボールが全然来ない。タイミングが合ってないんですよ。たぶん、慣れれば自ずと打率は上がってくるでしょう」