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クルトワからの9.35秒を味わって。
長友佑都はもっと走りを追求する。
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byMiki Fukano
posted2019/01/07 10:30
10年間にもわたって日本の左サイドを務め続けてきた長友佑都。その意欲は今もなお盛んだ。
親子でピッチに。最高っすね。
長友は、クルトワがキャッチしてからのこの9.35秒間に、日本と世界との差が表れたと感じている。
「あの走力。現代サッカーでは、ボールを持って、パスをつなぐだけでは勝てなくなっています。いかに縦に速い攻撃をできるか、そのときに、いかにスプリントして前に出て行けるか。これからの日本サッカーは、走力のスキル・質を高めないと、世界との差は縮まらないと思う。もちろんそのためにはトレーニングが必要ですし、『走り』について深く理解している指導者を育成して、その理論を広めないといけない」
インタビュー終了後、生後6カ月になる愛息について話しながらのポートレート撮影が始まった。
「4年後は4歳。4歳なら、父親がサッカー選手であることも認識しますよね? W杯の試合後のピッチに親子で立つ。最高っすね。これが一番のモチベーションですよ」
1カ月前、号泣しながら仲間に語りかけた男が、柔らかく笑っていた。
(Number958号『長友佑都 もっと走りを!』より)