“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
梅崎司が古巣浦和に見せたキレ味。
湘南J1残留へ、ゴールあるのみ。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/12/01 07:00
森脇良太を手玉に取った浦和戦でのゴール。梅崎司は今、ベルマーレで最も頼れる男だ。
自らの駆け引きが先制点に直結。
それをより深めるべく、梅崎は自身のプレーで周囲に発信した。
17分のことだ。梅崎はセンターライン付近で森脇を背負いながらターン。菊地に預けると、左サイド裏のスペースへ走り込む。菊地のリターンパスを受けると、追走してきた森脇のスライディングを、読み通りと言わんばかりに鋭い切り返しで運んだ。
クロスはMF阿部勇樹のブロックで防がれたが、完全に森脇を手玉に取っていた。
こういった駆け引きが、先制ゴールの呼び水となったのだ。
「坂からパスが出て、モリが食いついて、自分のところを超えるなと思った瞬間に裏に動き出した。ヤマ(山崎)もそれを意識してくれていたので来ると思った。狙い通り独走をして、GKにもう一歩近づいた方が良いと思って、近づいてからシュート。うまく行きました」
勝利の余韻より、名古屋戦。
その後も相手の特徴を把握しながら、自分のよさを出すプレーで76分まで出場した。
「浦和に勝って、自分がゴールを決められたのは素直に嬉しい。でも、名古屋と鳥栖(が勝利)の情報が入ったので、すぐに“次だ!”という考えに切り替わった。長崎戦のように勝利の後の余韻はなかった」
梅崎はこの試合のマン・オブ・ザ・マッチに輝いたが、その目にはもう名古屋との最終戦しか映っていなかった。
J1リーグ最終節のアウェイ・名古屋グランパス戦は、湘南にとって文字通り“大一番”となる。
名古屋との勝ち点差はゼロ。得失点2差で湘南の方が順位が上だが、同じ勝ち点40に湘南、鳥栖、名古屋の3つが並び、勝ち点41に横浜F・マリノスとジュビロ磐田がいるが、得失点差で見て、横浜FMがプレーオフに回る可能性は薄い。
事実上、4チームのどれかがプレーオフに回る状況である。しかも、湘南と名古屋は直接対決だけに、この試合に負けるとプレーオフ行きの可能性は非常に高まる。