“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
梅崎司が古巣浦和に見せたキレ味。
湘南J1残留へ、ゴールあるのみ。
posted2018/12/01 07:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
J1第33節・湘南ベルマーレvs.浦和レッズの一戦。この試合は湘南のMF梅崎司が主役となった。
昨年までの10年間在籍した古巣が相手ということもあり、スタジアムで販売されたマッチデープログラムの表紙も梅崎だった。
試合では“キレキレ”のドリブルシュートで先制ゴールで叩き込み、その後も浦和サポーターから“キレ崎”と呼ばれた頃を彷彿させるプレーで、2-1の勝利に貢献。チームの自動降格圏入りを回避する、重要な勝ち点3となった。
試合後、当然のようにマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた梅崎。ミックスゾーンでも1番人気の存在だった。
浦和だから、とあまり意識せず。
ただ「古巣への恩返し弾」で盛り上がる周囲をよそに、梅崎は至って冷静だった。
「正直に言うと、みんなが言うほど“レッズだから”というのがあまりなくて、これは(地元凱旋となった第25節の)V・ファーレン長崎戦と一緒。試合前は勝つことしか考えていなかった」
長いプロサッカー人生を歩んで来た梅崎司には、様々な因縁がある。だが、いちいち感傷に浸っている暇はない。
なぜなら、彼は今や押しも押されもせぬ湘南のエースで。結果を出すことを使命としている。そしてチョウ・キジェ監督が熱望の末に獲得した“最大の戦力”だからだ。
その想いに応えるためには、結果を出すこと。
確かに今季、湘南はルヴァンカップ優勝という大きな勲章を得た。だが、一番重要なのはリーグ戦。来季もJ1で戦う権利を掴み獲ってこそ、“結果を残した”と言えるのだ。それは梅崎自身がよく理解している。
「もちろん長崎や浦和の試合はモチベーションが上がる。浦和戦も“成長しているところをサポーターに見せたい”と思っていたけど、それ以上にチームの状況と立ち位置を考えて、俺がやらなきゃいけないと思っていた」