Jをめぐる冒険BACK NUMBER
森保U-21のエース候補、上田綺世。
「得点能力は誰にも負けたくない」
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAFLO
posted2018/09/03 11:20
今大会で東京五輪世代のエースストライカー候補に一躍名乗りをあげた上田綺世。ストライカー然とした存在感に惹かれる。
カメラと森保監督の前でもまったく動じない。
もっとも試合後といっても、ミックスゾーンの囲み取材でのことではない。場所は記者会見場で、目の前には何台ものテレビカメラと多くの記者が並び、隣には森保監督が座っていたのだ。
こうした状況で思いの丈をてらいなく話す姿に好感を覚えるとともに、ストライカーらしい度胸、芯の強さが感じられた。
今大会で上田が奪ったゴールはバラエティに富んでいる。
1-0で勝利したマレーシア戦では、少し膨らんでパスコースを作りながら飛び出してスルーパスを引き出すと、背後から倒されてPKを獲得。それを自ら決めた。
同じく1-0でUAEを下した準決勝では、ゴール前でボールを奪った渡辺皓太(東京ヴェルディ)のノールックの鋭いパスを完璧にトラップしてゴール右上に蹴り込んだ。
決勝の韓国戦では2点ビハインドの延長後半、初瀬亮(ガンバ大阪)コーナーキックに対してニアに入ってヘディングで叩き込んだ。
いずれもストライカーらしいゴールで、動き出しやポジショニング、シュートの正確さ、ヘディングの強さといった上田の持ち味が存分に発揮されたものだった。
インザーギ、バティに憧れて。
「点を取るための術は全部ほしいと思っていて、小さいうちからヘディングをやっていた。小さくても勝てるように。やっぱり昔のFWの選手の動きとかを見ていると、ドリブルよりワンタッチで決めたりすることが多くて、それは小さいときから意識してきた」
“昔のFW”とは元イタリア代表のフィリッポ・インザーギであり、元アルゼンチン代表のガブリエル・バティストゥータのことである。
父親の影響でサッカーを始めた小学生の頃から、点を取ることしか考えていなかったという。父と一緒にサッカーを観ていたから、憧れのストライカーもその頃活躍していたストライカーたち。生まれながらの点取り屋ともいうべきレジェンドたちのゴールシーンから、点を取るために何をすべきかを学んだ。