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代表選手を魅了するドリブル理論。
岡部将和がサッカーに革命を起こす。
posted2018/09/01 08:00
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Shinya Kizaki
今、サッカー界はいかに新しい知識を取り入れて活用するかという「イノベーション競争」の時代に突入している。
動き方、走り方、食事、心理のエキスパートから指導を受けるのが当たり前になり、呼吸法や脳科学的なアプローチに取り組む選手も出てきた。
そんな中、欧州や南米とはまったく異なるやり方でドリブルを研究している人物が日本にいる。ドリブルデザイナーの岡部将和だ。
ドリブルを実演する動画がYouTubeで話題になり、総再生回数は約1億回を越える。プロ選手からも注目され、これまで10人以上の日本代表クラスの選手にドリブルをアドバイスしてきた。ロシアW杯のメンバーでいえば、乾貴士、原口元気、宇佐美貴史の3人だ。
岡部は日本代表選手との出会いを、こう振り返る。
「初めて代表選手から連絡が来たのは、ザックジャパンのときでした。代表選手は確実に自分より能力が高いし、指導というのはおこがましい。そこで十人十色のドリブルに一緒に色をつけるという意味で、ドリブルデザイナーという名前を考えたんです」
「絶対に抜ける間合い」がある。
代表選手をも魅了するドリブル理論とは、どんなものか? 岡部が追求するのは、どんなときにも、どんな相手にも「99%抜くことができるドリブル」だ。
「将棋には勝負が決まる『詰み』という状態があるじゃないですか。ドリブルもそれと同じ。絶対に抜ける間合いがあるんですよ。そこに相手に気づかれないように忍び込むことができれば、99%抜くことができます」
ポイントになるのは相手との「距離」と「角度」だ。
「対峙する相手に取られないぎりぎりの距離まで近づき、十分な角度を取ることができたら必ず縦方向に抜けます。たとえば右利きだったら、向かって左側に回り込み、約100度まで行けたら勝ちです。もちろん角度には個人差があって、足の速い選手なら110度でも抜けます」
ここで角度とは、相手の真後ろを0度として測ったもので、相手の真横に立ったら90度だ。その90度より少し手前、100度まで行けたら必ず抜けるという考え方である。