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フェンシング女子フルーレの金メダル。
勝因はフランス人コーチの意識改革!
posted2018/08/27 10:30
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
MATSUO/AFLO SPORT
インドネシア・ジャカルタで行われている第18回アジア競技大会のフェンシング競技は、23日、女子フルーレ団体戦決勝が行われ、日本が中国に35-34で勝利し、同大会同種目で日本初の金メダルを獲得した。
しかも、準決勝では5連覇中の韓国も撃破。個人戦でも銅メダルに輝いた19歳の東晟良(あずま・せら)、宮脇花綸(かりん)、辻すみれ、菊池小巻、平均年齢19.75歳の若き女子剣士たちが快挙を成し遂げた。
5月に上海で行われたグランプリ大会・女子フルーレで宮脇花綸が日本勢過去最高となる2位に入ると、6月のアジア選手権では菊池小巻が同種目を制し、団体戦でも2位に入った。7月の世界選手権団体戦では準々決勝で強豪イタリアに圧倒され敗れたものの、順位決定戦でドイツ、カナダに連勝して5位に。昨年の8位から3つ順位を上げるなど、女子フルーレ陣の躍進が目覚ましい。
五輪銅メダリストのボアダンコーチ。
その理由の1つとして挙げられるのがフランス人コーチの存在だ。
2017年1月、フランク・ボアダン氏が女子フルーレ統括コーチに就任した。自らも1996年のアトランタ五輪にプレーヤーとして出場しているボアダン氏は同大会で銅メダルを獲得した実績を持つ。
現役引退後は指導者に転身し、フランス男子フルーレジュニアヘッドコーチ、フランス男女フルーレシニアヘッドコーチを務めた。'16年リオ五輪では同国の男子フルーレを銅メダルに導くなど、一時期低迷していたフランスを見事に復活させるなど、その手腕は確かなところだ。
コーチ就任以降、日本代表選手たちが彼に寄せる信頼は日増しに高まっている。7月に中国で行われた世界選手権前、女子フルーレ陣躍進の理由を宮脇はこう分析していた。
「新しいコーチが来たからだと思っています。彼は決して技術的なことだけを教えてくれたわけではありません。むしろ、技術的な部分が足りていないわけではないとも言ってくれました。チームビルディング(仲間が思いを1つにして、1つの目標に向かって進んでいける組織づくり)や、試合での闘争心といった部分で、チーム全体を変えてくれたと思います」