オリンピックへの道BACK NUMBER
男子100m、日本選手権での充実ぶり。
「できない」という固定観念の打破。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2018/07/01 11:00
抜群のスタートダッシュで5年ぶりの優勝を果たした山縣亮太。桐生祥秀、ケンブリッジ飛鳥らに競り勝った。
山縣は「9秒8を目指したい」とも。
「鶏が先か、卵が先か」ではないが、日本短距離でも固定観念が破られる瞬間があったからこそ、現在の飛躍があるのではないか。いまや「世界で戦えない」という言葉がどの選手からも出てこないのは、それを象徴している。
長年、10秒の壁の前で足踏みが続いていた状況も、固定観念のせいだったのかもしれない。桐生が破ったことでそれも取り払われ、桐生に続き9秒台に突入する選手が現れたとしてもまったく不思議はない。
選手たちの意識も一段と上がっている。例えば山縣は、今シーズンの序盤に「現実的な目標として、9秒8を目指したいです」と抱負を語っている。
壁がなくなったことで多くの選手が成長し、高いレベルで競うことによってさらに進化する、という好循環が訪れている現在の日本男子短距離。今後、どのようなレースが展開されていくのか、記録の行方とともに注目される。