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『シティ・マラソンズ』
人気作家が描くアスリートの“その後”。
走りたい衝動に駆られる珠玉の三編。 

text by

大崎梢

大崎梢Kozue Osaki

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photograph bySports Graphic Number

posted2018/07/01 07:00

『シティ・マラソンズ』人気作家が描くアスリートの“その後”。走りたい衝動に駆られる珠玉の三編。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『シティ・マラソンズ』三浦しをん あさのあつこ 近藤史恵著 文春文庫 514円+税

 する方のスポーツは苦手で、ただただ走るだけの長距離走は、何が楽しいんだろうと訝しく思っていた。小説としてのマラソンや駅伝は面白い。選手の葛藤やレース展開、順位の浮き沈みなど、ドラマ性が高くて引き込まれる。けれど現実に戻れば、自分とかけ離れた世界であることに変わりはなかった。

 それが『シティ・マラソンズ』では、初めてやってみたいという衝動にかられた。走れる人が羨ましくなった。


 本書の執筆者は三人。舞台となる都市も三カ所。ニューヨークと東京とパリ、そこで開かれるマラソン大会を軸に話は進む。各話の主人公のうち、ふたりは長距離走の経験者で、ひとりはバレリーナを目指していた。元アスリートという点、それも皆、華々しい功績を残しての引退ではない点が共通している。自ら見切りを付け、走ることから遠ざかっている。

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