濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
団体戦大会QUINTETが呼び込む
“異能”と“個”を超えるチーム力。
posted2018/06/13 07:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
格闘技の試合、その面白さはシチュエーションしだいで変わる。
ある日本人選手が僅差で判定勝ちしたとして、普段なら「やっぱりKOしないと」という不満が聞かれるとしても、それがUFCのタイトルマッチならどうか。僅差の判定だろうが膠着シーンが多かろうが、我々は歴史的快挙に歓喜するに違いない。
桜庭和志のプロデュースで4月にスタートした新イベント「QUINTET(クインテット)」はグラップリングの団体戦、抜き試合トーナメント。そのためシチュエーションが目まぐるしく変化する。
その時のマッチアップやチームの星取り状況しだいで「引き分ければOK」の場面も「是が非でも一本」の場面も出てくるのだ。相手のエースと闘うなら、守りきることも「仕事=チームへの貢献」になる。
引き分けの連続でも見応えあり!
6月9日、ディファ有明で開催された2度目の大会『QUINTET FIGHT NIGHT』はチーム5人の総体重規定を360kgに設定した軽量級トーナメントだ。
1回戦の1つは所英男率いるTEAM TOKORO PLUS αとTEAM CARPE DIEM(カルペディエム)。
プロの人気選手を集めた所チームと、強豪柔術道場からの選抜チームが対戦するという「プロのグラップリング・イベント」らしい顔合わせだ。結果は先鋒戦から大将戦まですべて時間切れ引き分けで、カルペディエムが大将戦後の旗判定で勝利。その記録だけを見れば退屈そうだが、実際にはそんなことはなかった。
所英男、伊藤盛一郎の“魅せる”試合ぶりはここでも健在だったし、足関節技の使い手として世界的に知られる今成正和の試合は「いつ決まってもおかしくない」という緊張感たっぷり。プロ格闘技主体に観戦しているファンは、彼らと一歩も引かず渡り合うカルペディエム勢の実力に驚いたはずだ。逆に柔術に詳しい者は「カルペの面々に取られない所たちってやっぱり凄いんだな」と感じたかもしれない。