濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
団体戦大会QUINTETが呼び込む
“異能”と“個”を超えるチーム力。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2018/06/13 07:00
桜庭和志、審判委員長の中井祐樹に祝福される優勝チーム「カルペディエム」のメンバー。左からデヴィット・ガルモ、松本義彦、岩崎正寛、杉江“アマゾン”大輔、世羅智茂。チームとして、個人として見事な連携の勝利だった。
中村が見せた腕十字はさすがの切れ味!
佐藤は先鋒戦で徳留一樹に秒殺され、チーム全体もHALEOの中堅までで“全滅”させられた。
ただ中村が1試合目で見せた腕十字はさすがと言いたくなる切れ味。U-ZUKIDOのように「トータルな実力は分からないけど一発ハマれば」と思えるチームもQUINTETでは“アリ”だろう。
「U系チームが出るならこんなチームもいけるはず」とファンの想像力を刺激してくれるのもいい。
チーム勝利の気分は「甲子園優勝」。
抜き試合だから1人の負けを他の選手がカバーでき、シチュエーションしだいで試合のテーマが変わる。そこに“異能”が存在感を発揮するスペースが生まれやすいのかもしれない。団体戦でも“個”が光る可能性があるわけだ。
そしてその“個”を“チーム力”で上回ることができるのも団体戦。
カルペディエムは決勝でHALEOをチーム全体の指導ポイント差で下している。HALEOの絶対的ポイントゲッター、世界トップクラスの柔術家であるホベルト・サトシ・ソウザを引き分けで“潰した”岩崎は「今回、僕の役目は“最強の盾”だったので」と語った。さらにチームの優勝について「甲子園で優勝したら、こんな気持ちになるのかなと」。
1回戦、決勝トータルで4試合して3勝1分、圧倒的な実力を見せたサトシは、それでも「もっと強くなりたい」と語った。いつもの個人戦とは、気持ちが「全然違う」と。
「いつもは私だけの勝ち、私だけの負け。でもQUINTETは私が負けるとチームが悲しむから。本当に最後の最後まで攻めました」
団体戦ならではのシチュエーションだけでなく、団体戦ならではの感情というものも、またあるのだ。