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格上スイスに「妥当な敗戦」なのか?
W杯直前の今こそガムシャラさを!
posted2018/06/09 12:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
ロシアW杯への希望を抱けない一戦だった。日本時間6月8日の深夜に行なわれた日本対スイス戦である。
FIFAランキング6位のスイスに、同61位の日本がアウェイで0-2の敗戦を喫する──ある意味では妥当な結果だ。だからこそ、現状は厳しい。格上の相手に負けるべくして負けたチームが、W杯で何かを起こせるとは考えにくいからだ。
ガーナ戦では3バックにトライしたが、この試合では4-2-3-1でスタートした。西野朗監督は「これからはこの形(3バック)で、とは考えていない」と繰り返し発言しており、4バックへ戻すのは予定どおりだっただろう。
「規制」をかけないサッカーだった。
この試合のキーワードは「規制」だった。
ガーナ戦で前半開始早々に与えた失点は、パスの出し手にプレッシャーをかけ切れずに、フリーでボールを蹴らせたことがそもそもの原因だった。パスの出し手に規制をかけることは守備の安定につながり、攻撃の第一歩にもなる。
前半開始5分のシーンは、チームとしての狙いが表現されたものだっただろう。1トップの大迫勇也、2列目右サイドの原口元気、右ボランチの長谷部誠が連動してボールを奪い、大迫からトップ下の本田圭佑を経由して原口、長谷部とパスがつながり、ボールは左サイドバックの長友佑都へわたる。長友のクロスは相手DFにクリアされるが、セカンドボールを原口がシュートへ結びつけた。
もっとも、前半に触れるべきシーンはこれだけである。
タテに速いサッカーを大前提としたヴァイッド・ハリルホジッチ前監督とは違って、西野監督は選手の動きや判断に規制をかけない。「ひとりひとりが自分のストロング(ポイント)を素直に出してほしい」との狙いから、タテへの速さをことさら強調することはなく、デュエルの勝敗にも過敏に反応しない。
同じ4バックでも前監督の4-3-3ではなく4-2-3-1へ微修正したのも、選手個々が伸び伸びとプレーすることを期待し、その延長として組織力を引き出すことを意図したものだった。