サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
格上スイスに「妥当な敗戦」なのか?
W杯直前の今こそガムシャラさを!
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2018/06/09 12:00
トップ下で先発したものの、本田圭佑は目立った見せ場を作ることはできなかった。
「仮想コロンビア」相手に個の力で失点。
しかし、指揮官が意図する化学反応は起きない。トップ下の本田は単純なボールロストこそ減ってきたが、相手守備陣の脅威とはなり得ていなかった。2列目両サイドの原口と宇佐美貴史も、得意とする仕掛けを見せない。1トップの大迫は主審のジャッジにストレスを感じているようで、40分には腰を痛めた影響で交代してしまった。
42分の失点は、個の力で攻略されたものだった。右サイドバックの酒井高徳が対面するブレール・エンボロに食いついていくが、ボールを奪えずに入れ替わられてしまう。ブンデスリーガのシャルケに所属する21歳にペナルティエリア内まで運ばれ、吉田麻也のファウルでPKを献上してしまった。
西野監督はこの試合を「仮想コロンビア」と位置づけていたが、コロンビアにはエムボロに見劣りしないサイドアタッカーがいる。4-2-3-1のシステムでトップ下を定位置とするハメス・ロドリゲスも、流動的にポジションを変えてくる。
だとすれば、スイスに喫した先制点を重く受け止めなければならない。サイドバックとセンターバックの距離感、サイドバックとボランチの距離感、ボランチがどこまでプレスバックするのかといったディティールを、19日のコロンビア戦までに突き詰めておくのだ。
柴崎、香川、乾、武藤が何か起こしたか?
西野監督は後半9分に乾貴士と酒井宏樹を、同24分に柴崎岳を、30分には香川真司を投入した。
柴崎の出来は、彼に代わって退いた大島僚太を上回っていたか?
本田に代わってトップ下に入った香川は、彼本来のポジションで輝きを放ったか?
2列目の左サイドに入った乾は、宇佐美や原口を上回る仕掛けを見せたのか?
大迫に代わって出場した武藤嘉紀は、決定機を逃したガーナ戦を反省材料としていたのか?
答えはすべて「NO」である。
スタメンの11人と途中出場の5人は、コンディションに問題がないことをうかがわせた。ガーナ戦を回避した乾と酒井宏を起用できたのは、コロンビア戦につながるプラス材料だ。
絶不調の選手はいない。ただ、絶好調の選手もいない。誰もが平均的なのだ。プレーも、メンタルも。