フランス・フットボール通信BACK NUMBER
バルセロナが沈みゆく当然の理由。
臆病な監督、高齢化、ネイマール。
text by
フローラン・トルシュFlorent Torchut
photograph byRichard Martin
posted2018/05/03 17:00
最近、キャリア通算1000ゴールを達成したと報じられたメッシ。彼の一層の進化、もしくは後継者が、いま必要とされている。
レギュラー陣は軒並み30歳以上で……。
彼ら“不動のレギュラー”の半数は、すでに30歳を超えている(ピケ、ラキティッチ、イニエスタ、メッシ、スアレス)。ほどなくブスケッツ(7月)とジョルディ・アルバ(来年3月)もそこに加わる。
右足を負傷していたブスケッツは、ローマとの第1戦に向けて復帰を加速化させた。第2戦の彼は相手の攻撃にたじたじとなり、ベストのときの状態とは程遠かった。
このブスケッツの例が、今のバルセロナを象徴している。
選手はどんな犠牲を払ってでもプレーしなければならない。運悪く力尽きてしまったら、ラキティッチが後は面倒を見てくれる。
それらはすべて「マシア(バルサの育成組織)」の伝統を犠牲にして作られた新たなポリシーであった。
2012年にペップ・グアルディオラがクラブを離れて以来、バルベルデはマシア出身の選手を最も起用しない監督であった。
クラブ生え抜きの若手であるカルレス・アレニャとホセ・アルナイスは、コパデルレイでそれぞれ450分ずつ散発的に使われたに過ぎない。
また、デンベレが怪我で4カ月もチームから離脱しており、リバプールから移籍のコウチーニョは今季のCLには出場できない状況であったにもかかわらず、この冬、ジェラール・デウロフェウをワトフォードにレンタル移籍させたのはいったいどうしてなのか?
ずっと交代要員でしかない選手達。
アレイクス・ビダル(遠征に不参加)とルカ・ディニュ(負傷)を別にして、ローマ戦でベンチに座った選手たち(パウリーニョ、アンドレ・ゴメス、デンベレ、デニス・スアレス、ヤスパー・シレセン、パコ・アルカセル、トーマス・べルメーレン)のうち、誰ひとりとして今日のレギュラー陣の地位にとって代われない。
同じ時期にレアル・マドリーは、ナチョ・フェルナンデスやマテオ・コバチッチ、マルコ・アセンシオ、ルーカス・バスケスらが常時交代出場を果たし、レギュラー陣と変わらぬ活躍を見せているのと対照的である。
この事実が、バルセロナというクラブの現在のスポーツ戦略を象徴している。
2014年のジョゼップ・バルトメウの会長就任の際に確立した、選手のヒエラルキーを覆す可能性を排してサブの選手はあくまでもレギュラー陣の補助要員としてしか扱わないというスタイル――。スポーツディレクターであるロベルト・フェルナンデスとそのスタッフは、もし本気で若手の底上げによりCLのベスト4入りを目指すのであれば、今の考え方を完全に変える必要がある。