沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
大阪杯を支配したミルコ・マジック。
圧倒的な道中のポジション取り技術。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2018/04/02 11:20
持ったまま先頭に並びかけ、4コーナーで先頭に立つと最内を選んで駆け抜けた。ミルコ&スワーヴリチャードの勝ちパターンになるか。
ドバイを捨て、大阪杯を選んだミルコ。
勝ちタイムは1分58秒2。つまり、前半1000mが61秒1だったのに対し、後半1000mは57秒1という、極端な後傾ラップだったわけだ。後ろにつけていた馬が差し切れるペースではなかった。
流れを読み切って、大胆に動く決断をしたデムーロも見事だったが、動いて止まってまた動いて……という難しい指示どおりに走り切ったスワーヴリチャードの自在性も素晴らしかった。
「すごい手応えで、最後まで伸びました。有馬記念も外枠でペースが遅くて、今回も外枠だったから気になっていた。だから、ペースが遅くなったら行こうと思っていた。直線でもいい手応えで、これなら負けないと思いました」
そう話したデムーロは、日本時間の同日未明に行われたドバイシーマクラシックに出走したモズカッチャン(6着)や、ドバイターフに出たリアルスティール(3着)、ネオリアリズム(8着)などに乗ることもできたはずだが、日本に残って正解だった。
このレースでもペルシアンナイト(2着)、ダンビュライト(6着)などに乗ることもできたと思われるが、惚れ込んだスワーヴリチャードを選んだ。
キタサン引退で空位となった中距離の王に。
スワーヴリチャードは、昨年のクラシックは皐月賞6着、ダービー2着と惜しい結果に終わった。秋、古馬との初対決となったアルゼンチン共和国杯を圧勝するも、有馬記念では4着。そして、年明け初戦の金鯱賞を快勝し、ここに駒を進めてきた。
管理馬によるJRA・GI初制覇を遂げた庄野調教師の目には涙があった。
「この馬でGIを勝ちたいと思っていたのでホッとしました。去年は、キタサンブラックが大阪杯を勝ってから年度代表馬になった。追いつき追い越せでやっていきたいです」
キタサンブラックが引退して空位になった王座につくにふさわしい走りで春の中距離王となった。