プロ野球亭日乗BACK NUMBER
“天才”西川龍馬が侍Jになった理由。
東京五輪、三塁手争い、広島の期待。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2018/03/02 10:30
非凡なバッティングセンスを誇る西川。守備にまだ課題を残すが、どこまで侍ジャパンで成長できるか?
広島でも「天才」と異名をとる。
期待通りに大会でも西川は打ちまくった。
韓国と台湾相手に行われた3試合でいずれも「7番・三塁」で先発出場。初戦の韓国戦で2安打を放つと、次の台湾戦でも再びマルチの2安打。決勝の韓国戦では1本塁打を含む3安打。最終的には11打数7安打の打率6割3分6厘で首位打者となりベストナインにも選ばれる大暴れをしたのである。
敦賀気比高校から社会人の王子を経てプロ入りして3年目。チーム内でも「天才」の異名をとる打撃センスは、あの鈴木誠也と双璧と折り紙つきだ。
「何と言ってもスイングスピードが速いし、強くボールを叩ける」
こう評していたのは広島OBの大御所・山本浩二さんだったが、課題としては守備と体力を挙げる。
「ちょっと送球に難があるのと、レギュラーをとるには1年間を戦い抜ける体力をつけること。調子の波を作らないこと。それでもこの1、2年で必ずレギュラーをとる選手なのは間違いない」
若手の素材がひしめく広島でも、特別な存在なのだ。仮に2年後の西川を想像したとき、「ひょっとしたらとんでもない選手になっているかも」という期待を掻き立てるのに十分な選手ということだ。
稲葉監督の見立ては……2年後の西川。
おそらく稲葉監督の見立ても同じだろう。
“ポスト・松田”の第1候補には確かに宮崎がいる。ただ2年後の西川は、少なくともその宮崎といい勝負をできる選手に成長して日本を代表する三塁手となっているはずだ――2年後を睨んで、だから所属チームでもまだレギュラーをつかんでいない西川をフル代表に招集したのである。