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“天才”西川龍馬が侍Jになった理由。
東京五輪、三塁手争い、広島の期待。
posted2018/03/02 10:30
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Nanae Suzuki
「本当に僕でいいのかなと思いますが、選んでもらった以上はしっかり期待に応えたいです!」
3月3、4日に行われる侍ジャパンのオーストラリア代表との強化試合。広島・西川龍馬内野手がその代表メンバーに選ばれたときのコメントである。
ご存知のように西川は所属する広島でも、まだ完全にレギュラーに定着している選手ではない。昨年の数字をみれば三塁手での先発出場試合数は安部友裕内野手の85試合がトップで、西川は約半分の38試合にしか過ぎない。所属球団でもレギュラーをつかみきったと言えない選手が日本代表、しかもフル代表に選出されたわけだ。
異例といえば異例の出来事である。本人が「僕でいいのか」と思わず言ってしまったのも、ある意味、率直な反応だったのかもしれない。
ただ、実はこの西川の存在というのは、これからの日本代表の構成を考えていく上で、1つのカギを握るものとなる。
テーマは「東京五輪を見据えた侍ジャパン」。
今回の強化試合には、2年後の東京オリンピックを睨んだ侍ジャパンというテーマがある。
試合の勝ち負けについて言えば、当然、負けるより勝った方がいい。ただこの強化試合の第一義は勝敗ではなく、2年後を睨んだ選手の発掘にあるはずだ。
もちろん今回のメンバーでも野手で言えば筒香嘉智外野手(DeNA)や柳田悠岐外野手(ソフトバンク)、秋山翔吾外野手(西武)に菊池涼介内野手(広島)ら代表で不動の“レギュラー”と呼べる選手もいる。
投手でも千賀滉大(ソフトバンク)や則本昂大(楽天)、今永昇太(DeNA)らは2年後に「やってもらわなければ困る」、選手だ。
また、3年前のプレミア12以来代表入りが増えてきた松井裕樹(楽天)や、抑え候補として稲葉篤紀監督が期待を寄せる山崎康晃(DeNA)らも2年後の中心メンバーとして計算されているはずである。