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“天才”西川龍馬が侍Jになった理由。
東京五輪、三塁手争い、広島の期待。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2018/03/02 10:30
非凡なバッティングセンスを誇る西川。守備にまだ課題を残すが、どこまで侍ジャパンで成長できるか?
三塁・松田宣浩の後継は誰なのか?
そこに今回はメンバーに入ってこなかった日本ハムの中田翔内野手や巨人の菅野智之投手と坂本勇人内野手、ヤクルトの山田哲人内野手や広島の鈴木誠也外野手らが入って2年後の五輪代表は決まる。
ただ、その中で浮上してきているのが「三塁手問題」なのである。
2013年の第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)から、侍ジャパンの不動のレギュラー三塁手として君臨してきたのはソフトバンクの松田宣浩内野手だった。
第3回WBCの1次リーグから本大会、'15年のプレミア12、そして昨年の第4回WBC、と日本代表の試合ではほぼ松田が三塁で先発出場して、結果を残してきた。
ただ、その松田も2年後は37歳だ。正式に「代表引退」を表明している訳ではないが、それでも“ポスト松田”の発掘は、稲葉監督にとっては急務なのである。
2年後の三塁手には宮崎がくるはずだが……。
第1候補はいる。
昨年、セ・リーグの首位打者をとったDeNAの宮崎敏郎内野手だ。侍ジャパンの顔として同じチームの筒香が選ばれた兼ね合いもあり、今回の代表に宮崎の名前はない。ただ、ボールを引きつけて強く叩ける打撃技術は折り紙つきで国際試合向きでもある。守備面でも昨年は惜しくもゴールデン・グラブ賞は逃したが、そつないグラブさばきで守備範囲も広い。
こうした実績を考えれば、当然、2年後の三塁手にはこの宮崎の名前が挙がるはずなのである。
ただその中で指揮官の頭の中には、同じくらいの重さで西川の名前があるのではないだろうか。
「西川の打撃というのは非常に目を引いた」
若手主体の代表チームで戦った昨年11月の「アジアプロ野球チャンピオンシップ」。稲葉監督にとっては監督デビュー戦だったが、宮崎で行われた事前合宿から、指揮官の目にとまったのが西川だった。