第94回箱根駅伝(2018)BACK NUMBER
2019年の箱根駅伝はどうなる?
勝負のポイントはやはり“山”。
posted2018/01/11 11:00
text by
折山淑美Toshimi Oriyama
photograph by
AFLO
1区でルーキーの西山和弥(1年)が飛び出すと、2区の相澤晃(2年)は区間3位の好走でその差を維持。3区のエース・山本修二(3年)と4区の吉川洋次(1年)は区間賞と区間新(区間2位)の走りで、2位にあがった青学大を引き離す――。
4年生抜きのオーダーで挑んだ東洋大の今回の箱根駅伝・往路。前半から主力を並べ、先手必勝で勝負を挑んだのは、総合優勝を獲りに行くための攻めのオーダーだった。そして、その先制攻撃は見事に決まったように見えた。だが、最終的にその勝負を決めたのは箱根駅伝特有の“山”での戦いだった。
4区終了時点で東洋大の青学大に対するリードは2分以上。
「総合優勝争いに踏みとどまるためには、最悪でも6区終了時点で青学大と並んでいる状態にしておきたいですね」
そう話していた東洋大の酒井俊幸監督にすれば、往路優勝はもちろんのこと、2位の青学大に1分以上は差をつけて往路のゴールを切りたいという思惑があった。5区での1分程度の負けは覚悟していたこともあり、そこまではほぼ想定通りの流れといえた。
だが、酒井監督の想像以上の走りを見せたのが、青学大の5区・竹石尚人(2年)だった。リラックスした走りで着々とその差を詰めると、区間5位の1時間12分49秒で走りきり、その差を36秒まで詰めたのだ。
往路の36秒差で、青学大の4連覇はほぼ決まった。
青学大の6区に控えるのは、前回も区間2位で走っている小野田勇次(3年)。
「小野田は悪くても58分台前半では行くでしょうから、うちが59分台で走っても1分以上の差はつけられる」
レース前、酒井監督はそう覚悟していた。つまり、往路終了時点で36秒「しか」差をつけられなかった時点で、青学大の4連覇の可能性は限りなく高くなっていたのである。
6区を走った東洋大の今西駿介(2年)も、区間5位と健闘した。15km付近までは青学大に追いつかれずに、必死の粘りを見せた。
だが、序盤は余裕を持って走っていた小野田は今西をかわしてからのわずか5km強で、逆にその差を52秒まで広げる走りをみせた。その走りは7区の林奎介(3年)の区間新の快走をアシストし、8区のエース・下田裕太(4年)を待たずして勝利を決定づける結果となった。