サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
新戦力を発見してこそE-1は成功。
中国戦で目を引いた4人の存在感。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byYuki Suenaga
posted2017/12/13 11:35
サイドバックをめがけてハイボールを蹴る戦術が一般化し、サイドでも空中戦は避けられない。植田直通ならば高さは完璧だ。
サイドバックで期待通りの仕事をした植田直通。
ハリルホジッチ監督はこれまで、小林を右ウイングの候補と見なしてきた。しかしこの日は1トップで評価を上げ、右サイドへポジションを移したあとにゴールしている。右ウイングのポジション争いで先行する久保裕也、浅野拓磨、本田圭佑も中央でプレーできるが、久保と浅野は基本的にサイドで起用されている。小林がふたつのポジションで勝負できるとの評価を得たとすれば、右ウイングの序列が変わってくるかもしれない。
植田は本来のセンターバックではなく、右サイドバックで起用された。中国の高さに対抗する手立てだった。
エアバトルでは期待どおりの仕事を果たし、持ち前のフィードもタテに速い攻めに生かされていた。パスをつなぐ展開では右サイド深くまで侵入し、アシストになってもおかしくないクロスも供給した。
国際Aマッチデビュー戦としては及第点の出来だが、右サイドバックには酒井宏樹がいる。現在のチームでは不動のレギュラーのひとりで、彼がスタメンから外れるのは考えにくいだろう。
酒井宏のクオリティは、ハリルホジッチ監督ももちろん分かっている。そのうえで植田を右サイドバックに起用したのは、対中国の処方箋だったのか、それともW杯を見据えたテストだったのか。
今野がこのレベルで存在感を発揮することは当然。
植田が本来のセンターバックに加えて右サイドバックも担うことになれば、ハリルホジッチ監督の選択肢は広がる。サイドバックとボランチ、ボランチとインサイドハーフができる選手は少なくないが、センターバックとサイドバックは希少だ。ロシアW杯の対戦相手を考えると、それが植田のようなフィジカルの持ち主ならなお心強い。
今野については、事細かに触れる必要はないだろう。今回のメンバーではもっとも計算できる選手であり、この34歳は新たな発見ではない。コンディションに問題がなければ、このレベルでは際立った存在感を発揮できる。