酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
フルスイングしたら三振は必要経費?
王貞治の境地は、現代では不可能か。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/09/25 11:00
広島の新井は306本塁打、1667三振。300本以上の本塁打だけで超一流であることは間違いないが……。
ホームランと三振の比率で最高は王さん、最悪は……?
ここで300本塁打以上の打者の、キャリア通算でのSO/HRベスト5とワースト5を見てみよう。
ベスト5
王貞治 1.52 (868本塁打 1319三振)
長池徳二 1.53 (338本塁打 516三振)
張本勲 1.62 (504本塁打 815三振)
長嶋茂雄 1.64 (444本塁打 729三振)
土井正博 1.67 (465本塁打 777三振)
ワースト5
新井貴浩 5.29 (315本塁打 1667三振)
広沢克己 5.00 (306本塁打 1529三振)
池山隆寛 4.74 (304本塁打 1440三振)
山崎武司 4.26 (403本塁打 1715三振)
中村紀洋 4.19 (404本塁打 1691三振)
ベストは王貞治を筆頭に昭和の大打者が並び、ワーストには新井貴浩をはじめ、平成の選手が並ぶ。
確かに昭和の時代は球場が狭く、投手があまり落ちる球を使わなかった。三振はそれほど多くはなかった。しかしそのころでも、フルスイングしなければスタンドインすることはなかった。また多くの打者は毎試合のように三振を喫した。
今の打者は本塁打の代償に、あまりにも多くの三振=最悪のリザルトを積み上げているということもできよう。
かつて、本当の大打者とは、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるでバットを振り回すのではなく投球を見極め、絶好球だけを打つものだったのだ。
その理想は今も変わってはいない。資質豊かな今の20代のスラッガーたちもその境地を目指してほしいものだ。