野球善哉BACK NUMBER
菊池雄星、大阪桐蔭、日本ハム……。
成長し続けるには「日誌」が有効?
posted2017/09/24 11:30
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Hideki Sugiyama
積み重ねの大事さを感じずにはいられなかった。
二段モーションの反則投球からの復活を果たした西武の菊池雄星が、自身のピッチングフォームを省みたときのことを話していた時だ。菊池は中学2年時から続けている、“あるもの”の存在を語ってくれた。
「過去の映像を見るのではなく、投球フォームのチェックポイントをまとめた日誌があるので、それを見返しました。4月ごろはどうしていたのかを確認して、あとは身体で思い出そうとしました」
野球選手と日誌――。
アスリートが日比気づいたことをノートに書き留めているということはよく聞く話だが、昨今はプロでもアマチュアでも選手たちが成長していくためのツールとして、日誌が重要視され始めている。
大阪桐蔭の監督は、野球日誌の価値をどう考えるか。
「選手たちにとっての一生の財産になるようにと話しています」
平成最強校の呼び声高い大阪桐蔭の西谷浩一監督は、野球日誌を取り入れている指導者の1人である。
「野球日誌は強制ではないんですけど、今では選手たちが普通に書くようになっています。もちろん、入部した選手全員が最初からきっちり書けるわけではありません。中には、絵日記のような日記を書いてくる子もいます。『今日はノックをしました、そのあとバッティングをして、ウェイトをしました。明日も頑張りたいと思います』と。そういう選手には書き方を教えます」
バッティングでは何を考えて振ったのか。フルスイングをするのがテーマなら、それをしてみたことでどう変わったのか。具体性が日誌に出てくることで、選手の伸び率に影響すると西谷監督はいう。