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柏木陽介がACLの大逆転劇を語る。
10番の意地に浦和サポーターが……。
posted2017/09/14 17:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
AFLO
浦和レッズの大逆転劇を演出したのは、やはり10番柏木陽介だった。
1-3と劣勢で迎えたセカンドレグだったが、前半19分に川崎相手に得点を許し、ベスト4進出のために必要なゴールは最低でも3に増えてしまった浦和。しかし35分に興梠慎三のゴールで1点を返すと、38分には相手川崎の車屋が一発退場。
「同点に追いつけて少し元気が出て、退場者によってさらに元気が出た」と興梠。
韓国の済州と対戦したラウンド16でも0-2の状況をセカンドレグで逆転した浦和にとって、逆転の可能性を信じない理由はなかった。
「(欧州チャンピオンズリーグでの)バルセロナの大逆転が済州戦で僕らに勇気をくれたのと同様に、昨日の広州の頑張りは勇気になった。結果的には勝ちきれなかったけれど、0-4から1回は4-4にしたんだから(結果はPK戦によって広州は敗退)。本当にありがたい。(車屋の)退場は少しかわいそうなものだったと思う。本当ならイエローでもおかしくない。だけど、俺らの前向きな頑張りを神様が見てくれていたのかなとも思うし、なにより平日にもかかわらず、たくさんのサポーターが来てくれたのは後押しになった」
直前のリーグ戦、帯同しないことを選んだ。
8月のファーストレグ。試合前のアップ中に筋肉の違和感で急遽メンバーを外れた柏木は、川崎に翻弄される浦和の姿をどんな気持ちで見ていたのだろうか。
「浦和の選手たちもいいプレッシャーをかけていたけれど、それ以上に川崎が巧かった。ボールが来ると来た方向にトラップするチームが多いなかで、川崎は体を開いて、1タッチで前を向ける選手が多い。守備へ行ってもかわされてしまうから」
自分が出られなかったことを悔やむ以上に「次へ向けて切り替える」ことを考えたという。
「同じような筋肉の症状は3度目だったから、慎重にならざるをえないところもあったけれど、今日のセカンドレグでの復帰を目指してリハビリした。本来なら、柏戦(9月9日)で試合に出られたらよかった。でもその時点ではまだ数回しか練習していなかったし、ベンチ入りして途中出場となったとしても、途中からのほうが負荷はかかるかもしれない。堀監督と相談して、試合に帯同せずしっかりコンディションを整えることを選んだ」