フランス・フットボール通信BACK NUMBER
プレミアのキック&ラッシュは終焉か!?
外国人監督急増による戦術革命を検証。
text by
パトリック・ウルビニPatrick Urbini
photograph byAlain Mounic
posted2017/08/27 09:00
プレミアリーグの多くのクラブが、勝つため必然的に、伝統的な「キック・アンド・ラッシュ」を放棄し始めた。
トップレベルの外国人監督の登場で大変化した戦術。
グアルディオラの言葉に同調するように、ピュエルはこう付け加えた。
「ロングボールを放り込んでセカンドボールを拾うダイレクトなスタイルとセットプレーでの激しさ……。選手は(激しさから)まったく保護されていない。ときにそれがアグレッシブなプレーを生むが……」
ではそれ以外にいったい何があるのか。
トップレベルの外国人監督――グアルディオラとモウリーニョ、ベニテス、クロップ、ベンゲルの5人は、チャンピオンズリーグで優勝するか決勝に進んだ実績を持っている――の流入により、プレミアのプレースタイルはより戦術的になった。
その結果として、昨シーズンの最も優れたふたつの試合、マンチェスター・シティ対チェルシー戦(1-3)――マイケル・コックスは自身の著『ザ・ミキサー』の中で「これまでのプレミアリーグで最も複雑な戦術的な戦いの試合」と形容した――とマンチェスター・シティ対リバプール戦(1-1)は、監督が知力の限りを尽くした戦術的な戦いになったのだった。
近年の優勝クラブには、イタリア人監督が多い。
変化を端的に示すもうひとつの証拠は、2010年以降のリーグ優勝の半分が、イタリア人監督によって成し遂げられていることである。
2010年はカルロ・アンチェロッティのチェルシー、2012年がロベルト・マンチーニのマンチェスター・シティ、2016年がクラウディオ・ラニエリのレスター、今年はアントニオ・コンテのチェルシーがタイトルを獲得した。
昨年9月24日、アーセナルに前半で3点リードされたチェルシーは、後半にシステムを3-4-3に変更した。このときのフォーメーションがGKクルトワ、DFアスピリクエタ、ダビド・ルイス、ケーヒル、MFモーゼス、カンテ、マティッチ、マルコス・アロンソ、FWペドロ、ジエゴ・コスタ、アザールで、コンテはチームのコンセプトを変えることなくバランスの回復に成功したのだった。