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コンテの遺産を捨て去ったアッレグリ。
ユーベの“マッドマックス革命”とは?
text by
トマ・シモンThomas Simon
photograph byEtienne Garnier/L'equipe
posted2017/04/26 11:30
ナポリのエルセイド・ヒサイを振り切って走るマンジュキッチ。右サイドで新たな活躍を見せ始めている。
BBCは解体されたが、その強さはそのまま維持された。
最初に手をつけたのがディフェンスだった。
BBC(バルザーリとレオナルド・ボヌッチ、ジョルジョ・キエッリーニ)は構成上の配置から頭文字のひとつを失ったが、強さはそのまま維持した。
次に中盤では、ミラレム・ピアニッチがプレーの中心からほんの少しだけ後退した。
そして攻撃では、才能溢れるパウロ・ディバラがより表現の自由を獲得し、フアン・クアドラドとマリオ・マンジュキッチはサイドを走りまわる。
この新しいシステムは機能性に富み、アッレグリの改革が総体的に正しかったことを証明したのだった。
ピッチ中央に君臨するピアニッチとケディラ 。
中盤においてクラウディオ・マルキージオはフィジカルに問題を抱え、戦術的な理由で今は控えに甘んじている。それを補っているのがピアニッチとサミ・ケディラである。
ピアニッチはテクニックとプレーのビジョンに優れ、質の高いパスを的確なタイミングで適切なスペースに出すことができる。
ケディラは攻撃と守備の両方の能力に長け、ふたりがボールを奪って攻撃を構築する。
また、彼らが守備に追われて攻撃にまで手が回らないときは、後方に控えるふたり――ボヌッチとキエッリーニが攻撃の起点となるのだった。
ピアニッチはすでに昨季から、スパレッティ監督のもとローマで同じ引き気味のポジションでプレーしていた。フリーキックも得意な彼は、ユーベの攻撃の鍵を握っている。
相手にボールが渡ったときのユーベは、4-4-2または4-4-1-1の守備システムを形成する。
コンパクトに圧縮されたふたつのラインは、相手のサイド攻撃をケアすると同時に中央もキッチリと閉めてスペースを与えない。
このブロックを敷く目的はふたつ。
ひとつは相手の攻撃を遅らせることであり、もうひとつはフィジカルな圧力に対してフィジカルでは対抗できないピアニッチ=ケディラのペアを保護し、彼らの負担を軽減することである。
数的優位を保つことがアッレグリの基本戦略である。