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コンテの遺産を捨て去ったアッレグリ。
ユーベの“マッドマックス革命”とは?
text by
トマ・シモンThomas Simon
photograph byEtienne Garnier/L'equipe
posted2017/04/26 11:30
ナポリのエルセイド・ヒサイを振り切って走るマンジュキッチ。右サイドで新たな活躍を見せ始めている。
早急に進んだ改革、今後はどうなっていくのか?
アッレグリが実践したのは、手持ちの攻撃的なカードをすべて活用した改革であり、中盤の核を強化し保護するためのディフェンスの再編であった。
ベースとなるのは戦術的ディシプリンに加え膨大な運動量で、バルサとのチャンピオンズリーグ準々決勝第1戦でユーベは、チームの総走行距離でバルセロナを9kmも上回っていた。
必然的に試合時間の経過とともに疲労は蓄積し、早い時間帯での得点が求められる。
実際、システムを変更してからあげた37得点のうち、32点が後半30分までに決めたものである。また約半分(18得点)が前半にあげられている。
違いは早々から作りだされており、それはプレースタイルと選手交代により最後まで維持される。だが、後先を考えずにテンションの高いプレーを続けることが、試合の終盤に向けて選手のスタミナを奪うのは否めない。
そこにこのチームの潜在的な危機がある。
バルサとの第1戦でも、ベンチの交代要員には限りがあった。右膝内十字靭帯断裂により、マルコ・ピアツァは戦列を離れている。
若いキーンのコンディションがトップに戻ることに期待がかかるが、今のユーベの攻撃陣にはスタメンの選手にとって代われるサブの選手たちも、切り札となるジョーカーもいない。
それが今後に向けての唯一最大の不安である。