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FIFAマスターで学ぶ大滝麻未の野望。
「女子サッカーをやり直したい」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byAFLO
posted2017/02/27 07:00
2012年にはUEFA女子チャンピオンズリーグの優勝も経験した大滝麻未さん。異色のキャリアはどんなドアに繋がっているのだろうか。
選手の経験を生かせる職種は限られている。
そもそも、大滝さんがFIFAマスターを志したのは、セカンドキャリアを考えての決断だった。
「何かをすごい学びたいというよりは、今後自分がスポーツに関わっていきたい、ロジカルにスポーツに関わりたいというのが直接的な動機でしたね。根本は、もうちょっと勉強したかったのが大きいです。サッカーをやめて働き始めるとして、社会を経験することそのものも大切ですけど、できることがすごく限られてるんですよね。プレーヤーとしての経験を生かそうとすると職種も限られてくるから、それだったら、マネジメントとか法律とか学んだら先に活かせるかな、と」
国際機関、という目標から日本サッカーに関心が移動。
昨年6月、入学前の彼女にパリで話を聞いた時は「海外や国際機関で働きたい」と話していたことを思い出す。印象としては、これからバリバリとキャリアを積み重ねていきたいタイプに見えた。FIFAなどの国際機関で働き、ゆくゆくは女子ワールドカップ招致などで日本の女子サッカーに貢献したい、というような話も出てきた。
だが、実際にFIFAマスターの学生生活もおよそ半分が過ぎ、将来のビジョンには少々変化が出てきているようだ。
「なんかまだこれがやりたいというのは明確にはないけど、確実に視野は広がっていて、こんなこともできるんだっていう感覚はあるんです。でも、女子サッカーに関わりたいというのは変わらないですね」
憧れに近かった漠然とした目標が徐々に研ぎ澄まされて、サッカー界の中でも女子サッカーにフォーカスをあてたいという方向で具体性を持ち始めている。
「とにかく海外で働きたいって思ってたけど、自分のやりたいことを実現できる環境で働きたいと思うようになりました。例えばFIFAで働けたら、女子サッカーが全然発展してない国でいちからコンサルティングみたいな感じで発展させ事業に関わるのもいいなと思うし、女子のクラブワールドカップが作られるっていう話もあるから、そういうのに関わるというのもアリかなと。
あとは、やっぱり日本の女子サッカーを盛り上げたい。世界を経験するのもいいけど時間がかかるし、例えば2、3年海外で働いても、そこまで大きな経験ができるとは思えない。だったら、もし自分にできることがあるなら日本に帰って女子のリーグにいちから関わるとかも、やりがいがあるなと思っています」