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FIFAマスターで学ぶ大滝麻未の野望。
「女子サッカーをやり直したい」
posted2017/02/27 07:00
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
AFLO
2月上旬のミラノに、FIFAマスターで学ぶ大滝麻未さんを訪ねた。
大滝さんは2012年早稲田大学を卒業後、日本のクラブを経ずに欧州の名門オリンピック・リヨンに入団した異色の経歴を持つ元サッカー選手だ。
代表歴もあり、ロンドン五輪にはバックアップメンバーとして同行している。だが、25歳だった2015年夏、フランス・ギャンガンで現役生活に早めのピリオドを打った。その後、サッカーコーチなどを務めたが2016年秋、FIFAマスターに入学。今は1年間の学生生活を送っている最中だ。
FIFAマスターとは、元日本代表・宮本恒靖が卒業したことで知られるようになった大学院修士課程だ。サッカーに関する歴史と文化、スポーツマネジメント、法律と3つの単元を、それぞれの分野に特徴を持つ大学で学び、研究する。ミラノのボッコーニ大学は、経済や商学系を専門とし、一橋大学との交換留学制度もある大学だ。1年間の最後には修士論文を執筆し、共同研究を発表して修了する。
ジャーナリズムの話に、興味津々。
課題と授業に追われる大滝さんと再会したのは、ミラノのカジュアルなレストランだった。
「大変だけどすっごい楽しいです」
授業の疲れも見せず、充実感にあふれた笑顔を見せる。
まず、学校の様子を説明してくれた。授業は週5日、90分の授業が大抵1日4コマおこなわれる。時には午前の授業で出た資料を元にした問題が与えられ、グループでの発表を午後の授業で、というハードスケジュールを課される日もあるという。
学生は約30人、今季は元韓国代表の朴智星も在籍し、学生として学んでいるそうだ。元サッカー選手もいれば、元バスケットボール選手でFIBAの職員だった学生もいる。比率的に多いのは、元ジャーナリスト、だという。
私としては、同業者が今一度学びの場に戻る気持ちもわかるので、「その人たちはジャーナリズムの限界を感じたのかも」と冗談めかして言うと、「それはジャーナリズム全体の話ですか? それともスポーツジャーナリズム?」と興味津々で突っ込まれた。
ジャーナリズムそのものというよりも、雑誌や新聞とは異なる表現方法、インターネットとの付き合い方の難しさを抱えていると思う、と返答した。
この日は、ちょうどマーケティングに関する授業が始まったそうで、その中でメジャーリーグベースボールのメディア戦略が一例に上がったといい、先の私の話は「フレッシュだった」という。