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5-0は大差か、勝負のアヤか。
青森山田だけが持っていたもの。

posted2017/01/10 12:20

 
5-0は大差か、勝負のアヤか。青森山田だけが持っていたもの。<Number Web> photograph by Tadakatsu Matsuzaka

22度目の出場にして初めて戴冠を果たした青森山田。高円宮杯U-18チャンピオンシップとの2冠は史上初。選手権歴代優勝校の中で最北端の高校となった。

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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Tadakatsu Matsuzaka

 2017年1月9日、第95回全国高校サッカー選手権大会決勝。

 埼玉スタジアムで栄冠に輝いたのは、青森県代表の青森山田高校だった。

 スコアこそ5-0という大差がついたが、結果程にはこの両者の実力に大きな差があったわけではない。ただそこには、明暗を分ける勝負のアヤがあったのも確かだった。

 まずは試合を振り返る前に、この2チームの決勝進出について言及をしておきたい。

 今大会は波乱もあったが、ファイナリストに残った両チームの実力は、決勝に相応しいと言えるものだった。

 インターハイベスト4、高円宮杯プレミアリーグイースト優勝、チャンピオンシップ優勝と言う文句無しの結果を残している青森山田は、もちろん優勝候補筆頭。

 一方の前橋育英は、前者と比較をするとインターハイ県予選初戦敗退、プリンスリーグ関東8位と見劣りをするが、今年は2年生主体のチームであり、夏以降の選手達の伸び率が凄まじかった。

どん底を見た前橋育英は、いかにして復活したのか?

 前橋育英には、もともと非常に高いポテンシャルを持った1、2年生の選手達がいた。ただ、昨年度のレギュラーがほとんど3年生だったため、ほぼスタメン総入れ替えとなった今年度は、経験不足から苦難の船出になることは目に見えていた。

 だからこそ、インターハイ県予選の初戦で敗退した後も、「彼らは間違いなく能力がある。ただ、まだチームになっていないだけ」と語った山田耕介監督をはじめ、スタッフ陣はぶれることが無かった。選手達が“自分達には力がある、自分達が何をすべきか”に気付いてくれるのを待った。

「(インターハイの県予選敗退後)このままじゃいけないと思ったし、チームが完全にバラバラになってしまうと思った。何とかしないといけないと本気で考えるようになった」

 キャプテンの大塚諒が振り返ったように、ある程度の苦戦を覚悟をしていた山田監督とは違い、選手たちにとってその敗戦はとてつもなくショッキングなことだったのだ。

 この敗戦によりチームは精神的に大きくダメージを受けたが、もうそれ以上は下がない、落ちるところまで落ちたと開き直ったところで……チームは奮起することとなった。

【次ページ】 夏から秋にかけて急激に成長していた前橋育英。

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