“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
青森山田が、ユース年代の日本一に!
高校サッカー部がJユースに勝った背景。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJiro Natsume
posted2016/12/20 17:00
レアル・マドリーとの一戦で世界中で注目された柴崎岳の母校でもある青森山田。チャンピオンシップ制覇の次は、2冠となる高校選手権制覇に臨む。
組織的4バックと攻守に働くMF、そして鉄壁のGK。
小山内慎一郎と橋本恭輔のCBコンビはカバーリングと対人に磨きがかかり、しっかりと中央を固められるようになった。左サイドバックの三国スティビアエブスと右サイドバックの小山新は共に185cmの高さを誇り、空中戦での強度を一段と高めてきた。そんな個性ある4バックの連携を高めると同時に、4バックの前の選手達の守備意識も、それと競い合うように向上させてきたという。
1トップの鳴海彰人は運動量とフィジカルの強さを駆使し、ファーストディフェンダーとして圧をかけ続けている。さらに、高橋壱晟(ジェフユナイテッド千葉入団内定)と2年生・郷家友太のツーシャドーが連動してコースを限定させていく。その上でアンカーの住永翔が、小山内慎一郎と橋本恭輔のCBコンビと中央のポジションをガッチリと固めている。さらに最後尾には、守備範囲が広く、正確無比な長距離キックを持つGK廣末がいる。廣末の特徴を生かし、DFラインを高めに設定することで、よりコンパクトな中盤を維持させ、プレスがかかりやすいようにもしているのだ。
この組織的な守備は、プレミアイースト、チャンピオンシップでも十全にその効力を発揮していた。
最後まで……PK戦まで落ち着いてプレーできた青森山田。
攻撃面では、高橋、郷家、住永の逆三角形が中盤を担い、速攻と遅攻、そしてサイドと中央を使い分けながら組み立てている。
「中盤の住永、高橋、郷家の3枚はJユースの選手と比べてもクオリティーは落ちないので、彼らのところでボール保持が出来ることで、時間を作り出せるのが大きい。廣末のキックもあるので、一発で裏を狙ったり、中盤の3枚で落ち着かせたりと変化もつけられる。自分達でマネジメントしながら、90分間戦い抜けるところが青森山田の強み」(黒田監督)
サンフレッチェ広島ユースとの戦いとなったチャンピオンシップでも、自分たちでゲームをマネジメントしながら戦える、その強みが出た。落ち着いたゲーム運びを見せ、失点ゼロで延長戦を戦い抜いた。PK戦では2人外した広島ユースに対し、青森山田は全員が成功。見事、栄冠を勝ち取った。
「高体連でもやれるんだという所を示せたと思う」(黒田監督)
この後は高校選手権が控えており、当然のように優勝候補筆頭に挙げられている。そして高校選手権後は廣末と高橋がプロの世界に羽ばたいていく。
史上2校目の高体連チャンピオンを生み出した根源は、これまでの経験を的確に分析し続け、「勝負」と「育成」の両立を果たした黒田監督の緻密なチーム作りにあった。