“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
最上級生からプロ1年目となる難しさ。
10年ぶりW杯へU-19世代の試行錯誤。
posted2016/10/08 11:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Yuki Matsuo
10年ぶりの世界は、日本サッカー界にとって至上命題となる。
10月13日に開幕するAFC U-19選手権。この大会でベスト4以上に入ると来年の韓国で開催されるU-20W杯の出場権を獲得することが出来る(※U-20W杯開催国である韓国がベスト4以上に残った場合、5位決定プレーオフで第5代表がU-20W杯出場)。
U-20W杯はU-17W杯と同様、世界中のトップレベルの選手達が集結し、しのぎを削る世代最高峰の戦いだ。過去のU-20W杯のMVP選手を並べても、リオネル・メッシ('05年オランダ大会)、セルヒオ・アグエロ('07年カナダ大会)、ポール・ポグバ('13年トルコ大会)と、錚々たる顔ぶれだ。
将来のスターの登竜門であるU-17W杯とU-20W杯。先月、U-16日本代表がAFC U-16選手権でベスト4に入り、来年のインドU-17W杯の出場権を掴んだ。一方でU-19日本代表はこれまで4大会連続で準々決勝で敗れ、世界へのキップを逃している。2007年のカナダ大会以来となるU-20W杯へ。U-16に続くべく、そして世界との真剣勝負が出来なかった“空白の10年”を埋めるべく、内山篤監督率いるU-19日本代表が決戦に挑まんとしている。
プロになることで実戦経験不足、試合勘の鈍化が。
内山監督がこの代表を率いるにあたって、立ち上げ時からチーム作りの根幹として持ち続けている選手選考の基準がある。
「ゲームコンディションが重要になってくる年代。ここは我々もかなり注意を払っている」
U-19年代において、一番の懸念材料となるのが、“実戦経験不足による試合勘の鈍化”だ。この年代はプロ1年目となる選手が多く、これまでの高校やユースチームでの立ち位置と違い、序列が一気に一番下となることで、実戦から遠ざかってしまうという現象が起こる。
これにより、選手にとって一番重要な90分のゲーム体力と試合勘が鈍る。いざU-19代表としてスタメンから試合に出場すると、ゲームコンディションが上がらず、思うようなプレーが出来ないまま終わってしまうパターンにはまって行く。