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東西の横綱と北の優勝候補で混戦に。
高校サッカー選手権、最新情報と見所。
posted2016/11/30 11:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
今や夏の甲子園と並んで、高校スポーツの代名詞と言われる全国高校サッカー選手権大会。今年で95回目を迎えるこの大会の出場校、11月21日に組み合わせが決まり、あとは決戦の時を待つだけとなった。
今大会を牽引するのが「東西の横綱」の2チームだ。
東の横綱は今年のインターハイチャンピオンであり、MF高宇洋(ガンバ大阪入団内定)、DF杉岡大暉(湘南ベルマーレ入団内定)、原輝綺(アルビレックス新潟入団内定)の3人のJ内定選手を抱える市立船橋。
西の横綱は昨年度のインターハイ、選手権チャンピオンであり、MF藤川虎太朗(ジュビロ磐田入団内定)、高江麗央(ガンバ大阪入団内定)、DF小田逸稀(鹿島アントラーズ入団内定)とこちらも3人のJ内定選手を抱える東福岡。
両チームに共通しているのが、この3人を軸としつつも、その周りにも高い能力を持った選手が揃い、チームの総合力でも今大会トップクラスだということ。
類まれなタレントを擁する東福岡は連覇を目指す。
東福岡は切れ味鋭いドリブルとラストパスの精度が魅力の高江と、状況判断能力に優れ、ワンタッチプレーを得意とする藤川のツーシャドーが攻撃の中核をになう。だが、そんな彼らの後ろには、明晰な頭脳とバランス感覚、精度の高い長短のパスを繰り出すアンカー・鍬先祐弥と、高いビルドアップ能力と対人の強さを持ったCB児玉慎太郎が構えている。
鍬先はプロ入りの可能性も高かった選手で、的確なポジショニングと正確なキック、そして機を見た攻撃参加と素早い攻守の切り替えと、安定感抜群のプレーが魅力。児玉も鍬先と連係して、ライン設定や正確なフィードで、個性的なアタッカー陣をサポートする。この2人がいることで、高江や藤川のアイデアが何倍にもなって活きてくる。
彼ら以外にも1年生アタッカー・野寄和哉、右サイドのスペシャリストのDF中村駿、来年の守備リーダー・CB阿部海大、ドリブラーのMF福田湧矢の2年生トリオ。そしてフィニッシャーとなる1トップにも、動き出しの速いFW藤井一輝、高円宮杯プレミアリーグウェストで得点ランキング3位につけるFW佐藤凌我という、共に決定力の高い2人のストライカーが激しいポジション争いを繰り広げており、チーム内競争は常に激戦状態。その厳しい生存競争がチーム力を上へと押し上げている。
インターハイではまさかの初戦敗退、プレミアウェストでも3連敗をして、優勝争いから転落(現在5位)するなど、結果こそ出ていない東福岡。だが、森重潤也監督は様々な選手を積極的に起用し、さらに競争を煽っている最中であり、冬の大舞台で2連覇という偉業に挑むための準備に抜かりは無い。