“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
青森山田が、ユース年代の日本一に!
高校サッカー部がJユースに勝った背景。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJiro Natsume
posted2016/12/20 17:00
レアル・マドリーとの一戦で世界中で注目された柴崎岳の母校でもある青森山田。チャンピオンシップ制覇の次は、2冠となる高校選手権制覇に臨む。
高校のサッカー部が、なぜJユースに勝てるのか?
高体連チームの難しさは、戦力が安定しないところにある。
全国から力を持った選手が強豪校に入学するようにはなったが、やはりJクラブユースと比べるとその安定感には欠ける。だからこそ、長くプレミアリーグに居続けること自体がとても難しい、と言える。現に、過去5年間でプレミアリーグからの降格を味わったのは、大半が高体連のチームだ。
青森山田はいかにしてプレミアリーグに在籍し続け、6年目でプレミアイースト優勝、チャンピオンシップ制覇に至ったのか。
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青森山田が発信し続ける“サッカー哲学”に憧れてやってくる、より才能溢れる選手が増えてきたという理由もある。その一方で、黒田剛監督が「プレミアで生き残って行くための戦い方」を、独自の哲学の下に推進していることも要因の1つだ。
「プランをいくつも持っておかないといけない。例えば、一発で裏を狙って仕掛けるプランもあれば、ポゼッションをしながらサイドから崩すプランもあれば、堅守速攻のプランもある……いろんな形を彼ら(青森山田の選手たち)は状況に応じて実践出来る。そのイメージを全員が共有することが大事」
カウンター攻撃一辺倒では、リーグを戦いきれない。
強豪Jユースと対戦をする時、高体連チームはどうしても守備的な戦いを強いられることが多い。だが、その「守備的」という姿勢をどう捉えるか――。
相手に主導権を握らせたまま、耐え忍び、ワンチャンスを狙うサッカーが基本的な対抗策として挙がるが、それだけでは1、2勝は出来ても、長いリーグ期間中、着実に勝ち点を積み重ねていくことは難しい。
さらに、その形で1年は耐えることができても、2年、3年とずっと同じ形で勝ち続けるのは不可能だ。
かといって、例えば攻撃的なサッカーを志向するチームが、その哲学のままにJユースに挑むと、下手をすると「玉砕」という現実を突きつけられることまである。