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大迫勇也はポストと得点を両立する。
高校時代に恩師と挑んだ意識改革。 

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byTakahito Ando

posted2016/11/15 08:00

大迫勇也はポストと得点を両立する。高校時代に恩師と挑んだ意識改革。<Number Web> photograph by Takahito Ando

高校時代、宇佐美貴史擁するガンバ大阪ユース相手にハットトリックを決めた大迫勇也。

オマーン戦の2点目には大迫の進化が凝縮されていた。

 前を向いて積極果敢にゴールへ向かうプレーが良く見られるようになったことで、彼が昔から得意としていた「背負うプレー」も、より一層効力を増すようになった。昔の「悪癖」はもうひとつの「武器」となり、プレーの幅そのものが、さらに何倍も広がった。

 2014年のブラジルW杯出場、ドイツ1部リーグ・1FCケルンでの躍動。そして、今回のA代表復帰――。

 大迫勇也の成長曲線の角度は、急激に上がっている。

 オマーン戦の2点目を思い出して欲しい。あのシーン、昔の彼だったら、まずは止まって受けてからターン……だったはずだ。しかし、清武弘嗣からボールが出た瞬間、ゴールへのイメージを持ってすでにターンを始めていた。だからこそ、ワンタッチでスムーズに前を向いて即座にコースを見据え、冷静に切り返しからシュートを流し込むことが出来たのだ。

 事実、彼は2点目のシーンについて、試合後、こう振り返っていたという。

「あそこで前を向かないと怖さが出ない」

「しっかり成長していこう!」

 U-17日本代表から落選した時、落ち込む大迫に小久保はこう言葉を掛けたという。

「今(年代別)代表に入っていても、将来的にA代表に入っている選手は少ないんだ。だから慌てなくてもいい。しっかりと成長していこう!」

 鹿児島の大地で息吹いた萌芽が今、日本を代表するゴールハンターとして一気に成長しようとしている――オマーン戦の2ゴールは布石に過ぎない。久しぶりの代表での試合でウォーミングアップを終えたストライカーは、さらにその牙を研ぎ澄ましている。

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