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インテル、中国資本傘下の衝撃度。
江蘇蘇寧を迂回すれば青天井補強も!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2016/06/17 11:00
インテルでもベテランに数えられる長友佑都。新体制で彼の処遇はどうなるのだろうか。
大型戦力の補強にはFFP制度が邪魔になるはずが……。
インテルにとって、序盤にスクデットレースを牽引したものの、最終順位で4位に終わり、CL予選出場圏を逃した昨季は、結局失意のシーズンとなった。
来季に向けたチーム作りは、すでに始まっている。
EL王者セビージャからのアルゼンチン代表MFバネガ獲得は既成事実化しているし、トルコ代表の左SBエルキンも即戦力として補強された。
巻き返しのためのさらなる補強は必須だが、ここ数年の移籍市場で赤字を計上し続けてきたインテルには、FFP制度の罰則規定が課されている。
今月末締めの'15-'16年シーズンの収支で、インテルに許されるのは3000万ユーロ分の赤字だけだ。来季はさらに厳しくなり、収支をプラマイゼロに揃えなければならない。現状8500万ユーロ程度とされているクラブの総人件費から、1000万ユーロ程度の給料カットも不可避で、フロントはかなりの倹約に努めなければならない。
指揮官マンチーニがご執心のMFヤヤ・トゥーレ(マンチェスター・C)獲得など夢物語だ。
赤字を全て江蘇蘇寧に押し付けるウルトラCも?
ところが、買収を受け入れたインテルは、これらの困難を易々とクリアできる魔法の財布を手に入れた。財布の中には人民元がうなっている。
兄弟クラブとなった江蘇蘇寧はアジアサッカー連盟(AFC)管轄下にあり、当然ながらUEFAのFFP規定の監査対象には含まれない。
つまり、移籍金の支払いにどれほど資金を投入しても何の制限もかからない江蘇蘇寧にMFヤヤ・トゥーレを獲得させ、1100万ユーロともいわれる高額年俸も負担させながら、インテルに無償レンタルさせるウルトラCは造作もない話だ。
それどころか、江蘇蘇寧が昨冬に総額7800万ユーロを注ぎ込んで“爆買い”したブラジル代表MFラミレス(元チェルシー)やMFアレックス・テイシェイラ(元シャフタール・ドネツク)も、レンタル扱いでミラノへ呼ぶことが可能になる。インテル側が解決すべきはEU圏外選手枠の問題だけだ。