セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
インテル、中国資本傘下の衝撃度。
江蘇蘇寧を迂回すれば青天井補強も!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2016/06/17 11:00
インテルでもベテランに数えられる長友佑都。新体制で彼の処遇はどうなるのだろうか。
今のサッカー界は、大富豪が札束で殴りあう闘技場。
「世界のサッカークラブには3つのカテゴリーがある。トップ、中堅、そして底辺だ。その歴史と知名度からいってインテルは世界の10傑にふさわしいはずだが、昨年の売上高でいえば17番目のクラブに過ぎない。この先、トップへの返り咲きを狙うには相当に強力な資金力が必要になる。今、何らかの手を打たねばならなかった」
乱暴な言い方をすれば、現在の欧州サッカー界は、ロシアの石油王やアラブの王族たちが札束を使ってオープンスタンスで殴り合う闘技場だ。
そして、インテルの元会長モラッティこそ、湯水のように資金を使い、スター選手を買い漁る彼らの先達に他ならない。インテリスタたちは、軍資金が必要なことを熟知している。
サッカー界参入から1年足らずでインテル買収。
37億ユーロともいわれる個人資産を持ち、米経済誌『フォーブス』による世界富豪ランキングで403位にある張近東こそ、インテリスタたちが待ち望んでいた資産家オーナーのはずなのだが、そのサッカー熱やクラブ愛には疑念が残る。
蘇寧電器グループが、中国超級リーグの江蘇足球倶楽部を買収したのは昨年12月のこと。彼らがサッカー界に本格参入してから、まだ1年足らずにすぎないのだ。
ただし、ミラノ市内に3万人の規模を持つ中国人コミュニティは、今回の買収劇に諸手を挙げて歓迎する。
特にミラノで生まれ育ち、流暢なロンバルディア訛りのイタリア語を操る移民2世、3世たちは、これから中伊2国の異文化融合に直面せざるをえない“チャイニーズ・インテル”が、2つのアイデンティティを持つ自分たちを投影するチームになると捉えている。インテリスタかミラニスタかを問わず、彼らは同胞をボスに戴くインテルを熱烈に支持するだろう。