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高円宮杯で未来のA代表CB発見!
優勝の鹿島ユース、町田浩樹への期待。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byTakahito Ando

posted2015/12/15 18:20

高円宮杯で未来のA代表CB発見!優勝の鹿島ユース、町田浩樹への期待。<Number Web> photograph by Takahito Ando

町田浩樹は2016年シーズンから鹿島のトップチームに昇格する。日本代表になれるのか……楽しみである。

CBという「天職」。

「中学1年生のときにCBを任せられるようになって、そこからずっとCBをやっています。個人的にはCBと言うポジションが大好きで、『守備の要』だし、責任が凄く重い。そこにやりがいを感じますし、相手FWとの駆け引きが凄く楽しいんです」

 小4で鹿島アントラーズつくばジュニアユースに入り、左利きということもあって左MFでプレーしていた。中学入学時、クラブが主導となって選手それぞれの成長予測(身長が何センチまで伸びるかなど)をする骨の検査を行うと、町田少年は「185~186cm」という数値を叩き出した。彼の父親の身長が191cmあるということもあり、将来的なことを考えて、鹿島アントラーズつくばジュニアユース昇格と同時に、CBにコンバートされたのであった。

 中学の3年間でCBというポジションの楽しみをすぐに見つけ出し、「天職」として成長を欲し始めた。鹿島ユースに昇格すると、1年目にして早くも頭角を現し始め、着々とCBとしてのキャリアを積んでいった。その過程で、鹿島だからこその環境が彼に大きな刺激を与えたことは間違いない。

 鹿島ユースはトップチームと同じクラブハウスを利用し、練習もすぐ隣りのグラウンドで行っている。ゆえに交流も深く、トップチームの練習や紅白戦にすぐに参加できるなど、恵まれた環境にあるのだ。

中田浩二、小笠原満男の大きなアドバイス。

 町田はその環境の恩恵を大きく受けたと言える。トップチームの練習に参加すると、中田浩二(現クラブ・リレーションズ・オフィサー、サッカー解説者)や小笠原満男に価値観を変えるようなアドバイスを何度ももらったという。

「自分の中でCBは『相手を止めること』、『空中戦で勝つこと』、『攻撃の起点になること』だけが重要だと思っていた。でも、もう1つ重要なことがあることを教えられたんです」

 あるとき、中田からラインコントロールについて指摘を受けた。「ただラインを揃えてオフサイドに掛けるだけでなく、相手にプレッシャーをかけたり、スライドしながらスペースを消すなど、ただ周りを操るだけでなく、相手との駆け引きをしながらやるように」と指摘を受けたのだ。

 なかでも彼の中で一番大きく影響を受けたのが、小笠原のアドバイスだった。今年2月、トップチームの宮崎キャンプに帯同した彼は、Jクラブとの試合にCBとして出場。動き出した敵FWにパスが出た瞬間、町田は「奪える」と判断し、猛ダッシュをかけたが次の瞬間、ワンタッチで入れ替わられ、ピンチを招いてしまったのだ。

 「そこは奪いに行くんじゃない。コースを切るところだ」と小笠原に一喝された。試合後、話を聞きに行くと「CBの仕事はボールを奪うことだけじゃない。相手の流れを切ることも重要な仕事なんだ」とアドバイスを受けたという。この言葉を聞いた瞬間、これまでの自分の考え方が間違っていたことに気がついた。

【次ページ】 リーグ最少失点を実現した「気づき」。

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